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山椒大夫 (1954)

監督
溝口健二
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4.18 / 評価:102件

平安時代版「ルーツ」

  • サンゴ さん
  • 2015年5月10日 20時31分
  • 閲覧数 1569
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

山椒大夫というタイトルだけは知っていたが、原作を読んだこともなく、内容もまったく知らず、まさかこんな悲惨な話だったとは思わず。
先日かつてのアメリカの大ヒットドラマシリーズ「ルーツ」を見たばかりで、奴隷制度とはなんと酷い歴史だったのだろうと思っていたが、日本でもまったく同じ奴隷制度があったわけで、何もこんなヘビーな内容の話をたてつづけで見なくても・・・と、少し後悔しながら見た。
平安時代の荘園制度は昔々勉強した覚えはあるけれど、荘園なんていう麗しい名前のせいで、これがこんな酷い奴隷制度だったとはまったく思いもよらなかった。

平安末期、人徳高く慈悲深く領民から慕われた立派な貴族の当主がいたが、もっと年貢をとりたてろ戦に民をかりだせとの上からのお達しに逆らい、反逆罪をうけて島流しに。
妻と幼い子供二人、安寿と厨子王は妻の実家に帰ることに。
その旅の途中、盗賊に襲われて、母親と子供たちは別々に売られて行ってしまう。
子供たちが売られた先が山椒大夫という荘園の親分のところ。
ここでは人買いから売られてきた人たちが何十人も奴婢として働かされていた。
山椒大夫は無慈悲な金の亡者で、奴婢たちを生涯こき使い、死にそうになると山に捨てていた。
奴婢としての悲惨な明日なき暮らしが延々と描かれる。
逃げ出そうとした奴婢の額には焼きごてで印をつけたり、足の腱を切断して歩けなくしたり。
ホントに先日見た「ルーツ」と同じようなことをしているのだ。
人間なんて世界中でやることは同じなんだなあと痛感する。

本当にかわいそうな話なのだが、中でも泣けるのは、ある日佐渡から連れて来られた女が歌っていた、安寿と厨子王の歌。
それは盗賊に売られて遊女に身をやつした母親が安寿と厨子王を偲んで作った歌だったのだ。
あまりの物悲しい詩と旋律で地元の佐渡で流行っているのだという。
この歌は泣ける。
美しく心優しい妹が兄を逃がすために湖に入水するところも泣ける。
なんとか逃げのび領主となった兄が、せっかく得た自分の地位と財産を投げ打ち、山椒大夫にとらわれていた人々を助けるところも泣ける。
老いた母親とも再会するが、もう父親も妹も死に、この世に残るのは私たち二人だけです、とさめざめと泣き崩れる。
ここで物語は終わる。

結局ちっとも報われてないじゃないか。
志高く慈悲深く高潔な善人が何も報われずに終わる話はやりきれない。
あまりにも悲しいお話なので、きっともう二度と見ないと思うけど、美しい古い日本の映画でした。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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  • 泣ける
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  • 勇敢
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