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上映中

二十四の瞳 (1954)

監督
木下恵介
  • みたいムービー 100
  • みたログ 544

4.65 / 評価:202件

語り継がれる、一億総国民の記憶

  • とみいじょん さん
  • 4級
  • 2019年10月6日 0時34分
  • 閲覧数 300
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

そんな物語を、聞きなれた・歌いなれた童謡等で紡いでいく。
 何度も何度も同じ歌が流れるが、場面場面によって歌い方が変わる。先のシーンを思い出させながら、映画が描いている”今”のシーンとの比較が自然にあぶりだされて、号泣してしまう。
 こんな演出があったなんて。
 なんて監督だ。そしてそれに応えた弟の忠司さん。すごい兄弟。


高峰さんが素晴らしい。
 20代から40代。台詞のテンポ、背筋で年齢が変わっていくことを見せる。
 はつらつとしていた20代からいろいろなことを経験した、年を重ねたうえでの表情の違い。こんな演じ分けができる役者。
 しかも、極論を言ってしまえば、初任のはつらつさを除けば、思っていることを言えないで怒っている顔と、教え子の去就や自身に降りかかったことに涙を流している場面がほとんどなのに、目が離せない。初めは、特に美人とは思えない顔に魅せられ、いつまでもあの眼差しに包まれていたくなる。

同級生の去就。
 当時のあるあるネタが満載で、当時の鑑賞者にとってもどこかしら、自身の記憶と重なる場面がオンパレードだったのではないだろうか。

18年間を走馬灯のように映し出す。
 兄弟とか、似た子ども・大人までの、主に3つの年代をクローズアップしてつないだキャスティング。その労に感嘆する。とはいえ、有名俳優ではない、ほとんど素人の役者ばかりなので、初見では正直、人を追うことで頭が混乱する。しかも12人。誰が誰だか。
 そんな大勢のエピソードも見事に切り取り見せてくれる。多少、説明じみた会話、もしくは説明不足になってしまうが、久しぶりの再会で、近況を確かめ合う台詞にまとめて、相手はほとんど素人の役者なのに、涙を誘われる場面となる。


戦後世代にとっては、いろいろな方や映画等で語られるエピソード。だから、「またか」と陳腐化しそうなのに、この映画の魅力は色あせない。
 台風後の片付け風景などの日常風景と、師弟のファンタジーのような授業風景の塩梅が見事。その日常とファンタジーを壊す、そのあとの流転に胸ひき裂かれる。
 そして、制作に携わった人すべてが、この時代を経験されているからか、映画自体が力強い。
 そんな日常を紡いだ話だが、近視眼的ではなく、遠景の風景と相まって、あの時代の話なのに、あの時代だけでは収まらない普遍的な映画として心に残る。「戦争はひどかったね」だけでは収まらない映画である。



〈蛇足〉
大石先生のお婿さんて、『仮面ライダーシリーズ(昭和)』の死神博士。『麻雀放浪記』でも、インパクトのある役だったけど、この映画ではさわやか青年。
 名子役として、ほとんど学校に通えなかったという高峰さんが、学校の先生というのも役者ならではの妙。

詳細評価

物語
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演出
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