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地獄の用心棒

bakeneko

5.0

ネタバレ用心棒は健康じゃなくちゃ!

1960年代に日活で和製ノワール作品群を創った古川卓巳の監督デビュー作で、洋画の様々な作品の良いとこ取りの脚本も目に付きますが、当時の麻薬取引の拠点であった横浜の現地野外ロケ(横浜駅、山下公園、横浜港など)は現実感を出しています。 関東信越地区の麻薬取締官:河津清三郎は、横浜の麻薬取引組織を壊滅させるべく、麻薬ディーラーを装って組織に取引を持ちかけようとする。そこで麻薬組織の用心棒をしているかつて戦地で命を助けた三国連太郎と再会し、彼の保障と推薦で組織内に食い込んで行くが、戦友は重度の麻薬中毒になっていることに気がつく。更に、漸く辿り着いた組織のボス:菅井一郎は麻薬中毒以外誰も信じないという信条の持ち主で、健康な主人公を信用できないと看破して…。というお話で、「第三の男」を始めとしてフランスやアメリカのフィルムノワールて多用された“旧友が敵味方となって再会するシチュエーション”を和風に翻案しています。 新人(=オーバーアクト)時代の三国連太郎の麻薬患者演技が凄すぎて、“これじゃあ、用心棒として使い物にならないんじゃあ…”と思わせるほどですし、ボスの菅井一郎も眼をぎらつかせて熱演しています。そして、“いいかげんバレないのかなあ?”と心配になる程の取引現場への警官の出現頻度の増加と、“いくら悪事に手を染めたといっても、自分へ好意を持ってくれている人を騙して…”と釈然としないままクライマックスに突入してゆく―不完全な脚本が突っ込みどころとなっている作品でもあり、同じく「第三の男」のモチーフが入っていて河津清三郎がキーパーソンとなっているけれど遥かに上出来の川島雄三作品:「銀座二十四帖」と見比べるのも一興かと思います。 ねたばれ? クライマックスの洗濯物干し場での逃亡シーンは「灰とダイヤモンド」を引用していますな。

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