「晩春」の逆バージョン
- bakeneko さん
- 2014年4月23日 6時57分
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築地の魚卸業をやりくりする勝ち気な未亡人を主人公にして、結婚適齢期の息子から子離れできない母親が巻き起こす騒動を賑やかに描いた喜劇で、
「晩春」や「秋刀魚の味」では、父親の娘を想う“諦念&悟り”が落ち着いた叙情性を見せていましたが、本作では母親が息子から離れられない“母性&女心”と”いつまでも愛する対象の面倒を見たい女のエゴ“の本音を賑やかに活写しています。
原作者の中野実は「好人好日」等の長閑なホームドラマを得意とした作家で、本作でも東京下町庶民の生活を生き生きと描いています。
水谷八重子[初代]のワンマン映画でもあり、我が儘なのだけれど女としての本音と情を見せて賑やかな結婚騒動の台風の目となっています。
デビュー仕立ての司葉子(20歳)と小泉博の初々しいカップルに加えて、中北千枝子、清水将夫、藤原釜足、清川玉枝、山本廉、中村是好、十朱久雄らが脇を固めていて、特に司葉子の姉の超勝ち気な中北千枝子&その亭主:藤原釜足の小料理屋夫婦の存在間は抜群であります。
「晩春」の逆バージョン的なシチュエーションだとこうなってしまうんだな~と思わせる物語展開が愉しい庶民喜劇で、1955年の築地市場の様子も映し出されていますよ!
ねたばれ?
劇中の寄席のシーンの垂れ幕:特別出演の林家正蔵を始めとして、志ん生、円朝…と昭和の名人の顔ぶれがずらりと並んでいます(私だったら中座しないなあ~)。
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