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遠い雲 (1955)

監督
木下恵介
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2.56 / 評価:9件

駆け出す恋と自由のための音楽

  • あでゅ~ さん
  • 2008年10月28日 22時28分
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

恋が

恋が駆け出して
運命が一刻を争うってときに

もしも
これがアメリカだったら
同じころの 自由の国だったなら

田村高広さんは
運命に追いついたろうか

少なくとも
この映画から10年後

ダスティン・ホフマンは
エレーンの待つ教会にまでたどり着く

そこには自由の力が

駆け出す恋と自由のための音楽が

刻むギターのリズムが あったんだ

なのに

木下監督には

音楽が ない

駆け出す恋と自由のための音楽が

ないんだなあ

たしかにね
木下さんだけじゃなくて
この時代のこの国には

山の端を越えて流れてく
空に浮かんだ遠い雲のような

あっけらかんとポジティブな

そういう自由への音楽は
まだなかった

だとしてもですよ

木下監督はいつもいつも
音楽を間違えてる

間違えて
縛られているように思う

「カルメン故郷」のシューベルトも
「楢山節考」の浄瑠璃も
黛さんの現代音楽も

この映画ではジャズ

ジャズは
たしかに解放の音楽だし
閉ざされた町の
暗い夜のあいびきには
似つかわしいと思うけれど

それじゃ突き抜けられないでしょ

突き抜けたいんでしょ

あなたは

木下さん

本当は

山々に囲まれ
人々のかかわりもまた
おのずから閉じているような
中部地方

そこでの古いしがらみや
嫉妬
卑屈な心や
積もり積もった心のなかの澱のようなものを

なんとか突き破りたい

それが
あなたのモチーフ

でしょ

いつだって

なのに突き抜けるための

音楽がないのだ

あなたには

ラストの
恋の疾走感

「卒業」のラストにさえ匹敵するような⋯

「私がかわいいのは世間様じゃないよ!」

と叫ぶ
田村高広さんのお母さん

最後の手紙を持って
デコちゃんの妹をかきくどく
田村高広さんの妹さん
(この子ステキ!)

駆け出す恋と 一刻を争う運命

みんな 突き抜けたい⋯

とうてい起こりそうもないと思っていた
奇跡が⋯

もう少し

もう少しで そこまで⋯

なのに

音楽は
汽車の汽笛にかき消されて⋯



とうとう
自由経済が崩壊したという
ついこのごろ

自由ってなに?


いつもながら考えさせられる
木下映画

自由ってさ
追い求めているときのほうが
ステキなのかもね

なんて

秋の空

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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