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生きものの記録

nat********

4.0

当時の人はどう感じたんだろう?

まったく情報を入れることなく 単純に黒沢作品ということだけで鑑賞。 今から50年ほど前に作られた原水爆の恐怖を 感じている一人の老人を中心に描かれた作品。 当時は反戦をテーマにした作品だったのかもしれないが 3.11以降、それとは別な作品として見られそう。 三船敏郎の姿がすごい。 当時35歳の三船が70歳を演じている。 腰の曲がり方、歩き方等、 誰が演じているのかわからなかったぐらい。 多少コントに見えるところもあったが しっかりと老人を演じきっている感じがした。 この映画を見ていて誰が正常で誰が狂っているのか よくわからなくなってしまう。 さらにいえば誰が正しく誰が間違っていて 何が正義で何が悪のかもわからなくなる。 原水爆の恐怖にブラジルへの移住を感じるている 喜一の気持ちを製作当時、鑑賞者はどう感じたのだろうか? 原水爆の恐怖というのは身近に感じていたんだろうか? 特に印象的なのが中島喜一が工場に火をつけて 従業員に自分達はどうすればいいのか迫られた 喜一の表情。 従業員からすれば原水爆よりも工場がなくなるのが 恐怖に感じたはず。 家族からしても安定した生活が脅かされるのに 不安を感じただろう。 ちょっとずれてるかもしれないが、 この縮図って今の日本、福島の瓦礫問題の各県の対応や 原発がなければ十分な電力を確保できないといっている会社などに 重なって見えるのは気のせいだろうか? 一番印象的な台詞が留置所でのシーンで 「原水爆が怖いなら地球から引越しをしなきゃいけないよ」 という台詞。 そんなことはとても無理なんだから 今、出来ることをしなければならない。 現実の話、原発の絶対的な安全を確保するのも難しいし 原発無しでの生活も難しいのであれば、 個人的には原発無しでの生活をみんなで努力して 何とかしていかなければならないんだと感じる。

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