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へそくり社長 (1956)

監督
千葉泰樹
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3.33 / 評価:6件

CGでのニセ東京ではなく本物の東京がある

  • mas******** さん
  • 2009年10月24日 12時17分
  • 閲覧数 484
  • 役立ち度 8
    • 総合評価
    • ★★★★★

昭和31年、東宝社長シリーズの記念すべき第一作である。長年観たかった作品だったが、宝塚のシネ・ピピアで「煌く日本映画の男優シリーズ」の12本の中の1本として上映されたのをやっと観ることが出来た。

この年は経済白書において「もはや戦後ではない」と書かれた年であり、以降驚異的な高度成長時代が到来することになる。そんな時代に合わせて封切られたのが、この作品であり、このシリーズはその後昭和45年まで続くことになる。

主役の現在96歳の森繁久彌がこの時43歳、前社長婦人と妻に頭の上がらない小心者ながら、スケベな養子社長を喜々として演じている。そして今年「ディア・ドクター」で楚々とした演技を見せてくれた八千草薫が25歳でキャピキャピの前社長令嬢を演じて本当に可愛い。

そして何よりこの時代を体現するセリフや風景が実に懐かしく(と言ってる本人はまだ生まれてもなかったんだが…)、現在より逆に新鮮さを感じる。先にレビューを投稿した2人の方も言及されていたが、冒頭、朝食の場面で、越路吹雪演じる妻は、森繁社長に「最新の学説によると日本人が短命なのは米食のせいだ」と一切の米食を禁じ、パン食を強制するシーンがある。

現在長寿世界一の日本人がこの当時は短命だった?そしてたぶん当時はこんな学説が主流派を占めていたんだろうなと、50年後の今になってやっと分かるこの場面の皮肉に苦笑を禁じえなかった。

また今何かと話題の羽田空港がこの当時は何ともレトロな雰囲気、そして現在破綻寸前のJALこと日本航空のプロペラ機が、意気揚々と着陸する様は、まさにこの頃の日本航空が現在では想像もできないようなステイタスを誇っていたことを強く感じさせる。

他にも昼休みに会社の社員は屋上でバレーボールを楽しみ、小林桂樹扮する秘書室長と司葉子のOLがデートに行くのは帝劇の今では絶滅したシネラマ映画である。また銀座資生堂パーラーも森繁社長と小唄の先生の隠密デートに使われるなど、まさに時代の空気を感じさせるシーン満載である。

この映画に比べれば、近頃人気の昭和30年代の東京をCGを使って再現した、某テレビ局タイアップの夕日映画など、単なるまがい物の東京を見せているに過ぎない。

ストーリーは観てのお楽しみだが、戦後東宝を象徴する喜劇シリーズの第一作ということで、面白くないはずがない。時代を切り取ったかのような懐かしさに満ちた昭和30年代の東京の姿と、油の乗り切った俳優達の喜々とした演技がたっぷり楽しめる傑作であり、日本映画ファンなら絶対に観ておくべき映画だろう。

詳細評価

物語
配役
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