ここから本文です

夕日と拳銃 日本篇 大陸篇 (1956)

監督
佐伯清
  • みたいムービー 6
  • みたログ 6

3.00 / 評価:4件

いくらなんでも詰め込みすぎのダイジェスト

  • kug***** さん
  • 2016年2月29日 17時58分
  • 閲覧数 534
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

 「マレーの虎(ハリマオ)」と呼ばれた「谷豊」という日本人がいた。「怪傑ハリマオ」のモデルとして有名だが、実際はマレー半島で日本軍の工作員をした単なるヤクザともいわれる。(個人的には「ロボット残党兵」の「虎に変形する狂戦士サイボーグ」が好き) 知名度は落ちるが中国大陸で馬賊を率いた「伊達順之助」。伊達正宗の子孫で仙台知事の華族「伊達男爵家」出身の乱暴者。学生時代に不良と喧嘩して射殺。投獄されるも早期に釈放、無罪放免。その後は中国へと渡り、張作霖や山縣有朋の暗殺を計画するも失敗。大陸浪人となって中国に帰化。モンゴル独立運動に身を投じ、敗れた後は北一輝、出口王仁三郎などと親交を結び日本軍の工作員になって、大陸各方面の防衛を行った。(戦後、戦犯として中国で処刑)
 この伊達順之助をモデルに「火宅の人」で知られる団ふみの父「団一雄」が書いた新聞連載小説が「夕日と拳銃」。華族の家名を投げ捨て、母の肩身の拳銃片手に中国を駆ける熱血快男児「伊達麟太郎」の波乱の生涯を描く。

第一部 日本篇
 大正六年。「華燭の典」の中、満州から強制送還された麟之助(東千代之助)が帰ってくる。姉の結婚を聞き、満州浪人の姿のまま、騎馬で。祖父母は叱咤するが仲人の「山岡厳山」とその娘「綾子」は温かく迎える。家風ばかり重んじる冷ややかな伊達家の水にあわない主人公というのはわかるが、冒頭から詰め込みすぎで、原作を読んでいないと人間関係がわからない。山岡から満州の雄大さを聞き、憧れる麟之助と西洋志向の綾子。麟太郎は出戻りの綾子を「おば様」、綾子は麟太郎を「坊や」と呼ぶが、互いに気に入ってはおらず、綾子は別れた夫に渡せなかったルパシカ(ロシアの民族衣装)とフランス製の拳銃を渡し「おあねさん」「麟之助」と呼び合うことを決める。後日、突然求婚する麟之助に綾子は戸惑う。
 互いに結婚したいと思っていて、まず呼び方から変える展開と二人の演技は絶妙で台詞を必要としないのが実に良く、千代之助の初心さの演技が凄まじい。この頃、一番モテたであろう俳優なのに、この童貞感。
 地回りに絡まれた友人(高倉健)を助けるが親分の「日傘」にドスで不意打ちされ、麟之助は冷静に拳銃で射殺。警察に行く前にライスカレーを食べたいと綾子にねだり、銀座のレストランで食べる。人を殺したのに悠々とおかわりまでするが、すでに死刑や敵討ちを覚悟している。図太さを描こうとして、ここは胡乱で怪人物過ぎて怖い。
 正当防衛で無罪放免となるが、麟之助は団蔵の家に行き、妹の「こう」に自分を殺せと迫るが、誘惑され居ついてしまう。こうが麟之助のルパシカを持っていたことで全てを悟った綾子は、山岡の勧めで下男の逸見と共に満州へと旅立つ麟之助を見送りにも行かなかった。

第二部 大陸編
 張作霖の部下なのに、張の軍閥と戦う馬賊の中にいる麟之助。義侠心から弱い立場の蒙古の味方になり敵対したのだ。張を訪ねた綾子とも再会し結ばれるが、綾子手製の黒いルバシカを手に蒙古へと舞い戻る。戦いに破れ、逸見と再会し、蒙古の族長の遺児「チチク」を預け、綾子の使いだという九蓮山と奉天へと向かうが、馬賊の村に止めおかれ、ロシアのスパイになれと誘われるが承諾せず跳び出す麟之助。追いかける九蓮山の妹「アロン」 麟之助が好きなアロンは別れるくらいなら殺すと銃で撃つ。原作では九蓮山も「好きになった相手を殺し、殺して後悔する」怖いヤンデレ兄妹。
 数年後、満州国建国に伴い日本軍で辺境警備をしている麟之助。昨今は東の朝鮮ゲリラ「金日成」が悩みだが、逸見は桃源郷のような王道楽土を建設できれば共存できると夢見る。逸見は満州まで麟之助を追ってきたこうと同棲し、チチクを養女にしていた。朝鮮ゲリラの出没する東部で農地開墾を行う逸見たち。しかし、留守中ゲリラに襲われ、こうと腹の子も死ぬ。逸見を救ったのは麟之助のもう一つの悩みだった南の馬賊。彼らは逸見の心意気にうたれ、開墾への協力を申し出る。東の開墾を再開する逸見たちだが、馬賊の頭目一家が関東軍に捕まる。麟之助たちは助命を願って馬を飛ばすが関東軍は家族までもすでに処刑。軍部の非情さに怒り狂う麟之助は参謀を殴り倒し、頭目一家を弔う。
 麟之助は激戦区の山東省に左遷。東の桃源郷で別れの宴が開かれ、チチクが歌い、「馬賊の唄」が合唱される。幼馴染の「千代」は昔のように頭の上に置いた林檎を銃で撃ってと麟之助に頼む。昔は空砲だったが、実弾で。それで死んでもかまわないと。千代もずっと麟之助が好きだった。麟之助は見事に銃弾で林檎を撃ち抜く。
 綾子らが駆けつけ、金日成らもなぜか壮行に現れ、中にはアロンの姿も。麟之助は綾子に時間を尋ねる。「あなたが時間を聞くといつもお別れね」

 次々と女を狂わせる魔性の男過ぎる麟之助だが、女優はイマイチ。金の掛かったカラー作品だが忙しく不親切な展開が多く、原作の終盤もカット。倍の4時間は欲しい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 笑える
  • 楽しい
  • 不思議
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ