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日本橋

日本橋

111

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4.0

因果関係ではない関係

1956年。市川崑監督。幽霊が出ると噂の家を買った威勢のいい芸者(淡島千景)は、玉の腰の旦那をつかまえたライバル芸者(山本富士子)に挑むように、彼女と思いあっていながら何もできない大学生と恋仲に。徐々に本気になっていくが、男は別れ話を切り出していなくなってしまう。すると正気を保てなくなり、、、という話。幽霊屋敷のたたりの話のようでもあり、三角関係とライバルの話のようでもあり、狂気との関係で北海道の男や警察官が出てきて、なにやら正常と狂気が国家とかかわる話のようでもある。殺人事件も起こるし。 とにかく単純な因果関係には収まり切らない複雑すぎる話。そのつながりは、例えば、恋の発端が死んだ姉と菊人形と好きな女の「類似」だったり、三角関係の始まりが思いのつまった貝をめぐる出会いの「偶然」だったり、和解の兆しが二階から階下へと落ちていく扇子がつくる「接続」だったりする。決して「因果」ではつながらない映画。 ・・・のはずだけど、それが成功しているかどうか。感情を込めすぎないようさらっと演じる淡島と、ねちねちじっくり情緒的に演じる山本は別の映画に出演しているのではないかというほど演じ方が違う。キャラクターの違いではなく、映画の調子を一本化できなかったのかもしれない。

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