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月形半平太

bakeneko

5.0

ネタバレ“濡れて行こう”って、傘がなかったのね。

最近の“幕末もの”では全く顧られないのだけれど、新国劇の代表作で昭和までは芝居や映画に大人気だったキャラクター“月形半平太”を大映がオールスター&極彩色カラーで映画化した娯楽作品で、監督はそれまで3回も月形半平太を映画化した衣笠貞之助であります。 え~、平成に入ってからの幕末ドラマに欠けているキャラクターは、鞍馬天狗と月形半平太であります。西部劇のガンマンを無理やり幕末物語に翻案した鞍馬天狗がリアル嗜好の時代劇にそぐわないのは当然ですが、月形半平太が最近のドラマに出てこないのは、フィクションの人物というだけでなく、キャラクターや物語設定が現在の幕末もののヒーローNo.1=坂本竜馬に被ってくるからであります(逆に言えば、月形の物語を主人公に竜馬を当て嵌めた物語が現在の竜馬説話の主流となっていると言えます)。 つまり、薩摩&長州&土佐を纏め上げようと奔走する思想と努力、 芸妓とのロマンスの“粋”、 志半ばでの夭折 等に、竜馬との共通性が強すぎて、(竜馬の活躍が欠かせない)最近の幕末劇に出てきては“両者のキャラクターの住み分けが出来ない”人物なのであります(逆に月形半平太の作品には竜馬は出てこないことが多いので、“両雄並び立たず”の感があります)。 本作は、月形の物語の人気があった最盛期に大映&新東宝のスターを総出演させて創った作品で、主演:長谷川一夫の他に、男優は市川雷蔵、山村聡、勝新太郎、川口浩、山形勲、大河内傳次郎、田崎潤、女優は、山本富士子、木暮実千代、中村玉緒、京マチ子..(一瞬だけ、若尾文子)と絢爛たる共演を楽しむことが出来ます。 そして、「地獄門」で海外の賞を総なめにした“大映美術”の色彩美が圧巻で、映画産業が裕福だった頃の潤沢な制作費を使った“和風スペクタクル”は眼福ものでありますし、衣笠監督お得意の“俳優のアップの表情の美しさ”も堪能させてくれます。 新国劇を代表する大衆文化の映画化作品で、きっと最近の若い人には目新しい―史実とフィクションを上手く融合させた、平成時代には映像化されていない和心漲る“幕末ロマン”であります。 ねたばれ? 1、京都町人が江戸弁を喋っちゃいけません 2、早く!金魚を...。

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