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黒い河 (1956)

監督
小林正樹
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4.00 / 評価:10件

泥沼に咲く一輪の花

  • cyborg_she_loves_me さん
  • 2020年5月10日 17時22分
  • 閲覧数 119
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

この当時の美人女優さんたちが、もうほんとに神々しいばかりに美しいのは、単なる顔やスタイルが美しいというだけじゃなくて、彼女たちをそんなふうに美しく撮る監督の美学がとても優れているからなんですね。
 最近の映画にこういうセンスの持主がいなくなった気がする。

 この映画でも、ジョー(仲代達矢さん)のギロリとした目や悪人ぶり、月光荘の住人たちの泥臭さ、といったものをとことんリアルに描いた上で、その真っ只中に、一輪の花が咲いたように清楚な身なりの谷口静子(有馬稲子さん)の美貌をそっと置く、その対比の手法がじつにうまい。
 こうやって描かれると、本当に泥沼の中に天使が舞い降りたように、有馬稲子さんが清らかで美しく見えます。「見えます」というと失礼ですね。本当にお美しいです。

 物語は、その有馬稲子さんの静子を、ジョーが強姦同然のようにして手篭めにし、自分の女にしてしまう。しかし静子はじつは、ボロアパートの月光荘に引っ越してきた真面目な学生の西田(渡辺文雄さん)のことが好きで、何度も西田に会おうとこっそり約束するのだけれど、そのたびにジョーに妨害されてしまう。しかしついに、静子はジョーと手を切り、西田への思いを貫くために、ある決意をする。

 とまあそんな感じの物語です。

 しかし私は、そういう「体は汚れても心は清らかな愛を貫く」的なストーリーの本筋ももちろん好きなんですけど、それの裏側の、当時の貧しい庶民の泥臭い暮らしぶりとか、仲代達矢さんのイッチャッてる悪党ぶりとか、そういう暗黒面の描き方が、この映画の大きな魅力になっていると感じました。

 特に、この時代をリアルタイムで体験したことがある私のような世代の人にとっては、最初っから最後まで懐かしい映像のオンパレードです。
 当時は、町の真ん中でも至る所に未舗装の道があって、雨が降ったら靴は泥だらけになってそのたび洗わなくちゃならなかったっけ。
 アパートにはプライバシーなんてものはないに等しくて、夏は窓は開けっぴろげ、部屋の中はみんなに丸見え。
 今度ここに水道が引かれるといってみんな大喜びしたり、汲み取りの料金をどう分けるかでもめたり、今では信じられないような当時の生活が生々しく描かれていて、それが懐かしくて、面白いです。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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