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飢える魂

bakeneko

5.0

ネタバレ王道メロドラマの魅力!

ラジオドラマで大人気を博した丹羽文雄の日経新聞に連載された新聞小説を,最盛期の川島雄三が映画化した作品で,熟年&成年2組の男女の複雑な恋を並行して描く“王道メロドラマ”であります。 オープニングタイトルバックの,日本全国のラジオ局の名前がずらりと並ぶ表示に思わず自分の故郷の放送局を探す―マスコミと映画会社が大々的に組んだ映画作品で,『洲崎パラダイス赤信号』でも2組の男女の繋がりを鋭くドライに描いた川島が,次第に接近していく男女の想いの高まりをスリリングに活写しています。 本作は原作の前半部分に当たっていて,冒頭の手術場面で登場人物の関係を紹介した後に,徐々にそれぞれの事情と想いの深さを提示して,“すれ違い&偶然の邂逅”を繰り返しつつ“恋情の高揚”を積み重ねていきます。 映画では,多くの人物が出て来る長いラジオドラマの中から,主要な2組の男女の関係者に人物描写を絞って足早に展開を見せるアレンジとなっていますが,還って原作の贅肉を削ぎ落して“男女の機微にハラハラさせる”ことに集約しています。 本作が代表作となった南田洋子の美しさは圧巻で,長丁場のメロドラマの柱として屹立する魅力を発揮していますし,競演の三橋達也や,もうひと組のカップル:轟由紀子&大坂志朗も好演しています。また,子役で桑野みゆきや本作がデビューとなった小林旭,元恋人の渡辺美佐子も存在感を出しています(そして珍しいインテリ役の金子信雄も見ることができます)。 で,物語は主人公達が接近しつつも一線を越えないままに続編へと…

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