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流れる (1956)

監督
成瀬巳喜男
  • みたいムービー 37
  • みたログ 180

4.24 / 評価:66件

豪華すぎて信じらんねえ面子

  • すかあふえいす さん
  • 2015年1月9日 18時26分
  • 閲覧数 1229
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

川がその流れを止めないように、時代はどんどん流れ続ける。傾いた芸者置屋も華やかな花柳界も、女も男もいずれは流されてしまう。
だが、それでも流れない奴は流れない。そんな人々の日々を淡々と綴った映画だが、淡々と言っても女達が口舌の刃でジャジャンガジャンと踊り毒づきド突き合うようなドロッとした話なんですけどね。これが面白い。
溝口健二の「祇園囃子」と見比べるのも面白い。

何せ初っ端から必死に稽古をする少女が去った後、彼女たちは挨拶でも交わすように罵り合いを始めるのである。

本当に肉厚というか、豪華すぎて信じられないくらいの面子だ。
ここに原節子(「驟雨」といった傑作に出演!)もいれば完璧だったと思う。成瀬巳喜男の映画に出る女性達は他の映画では見せない素晴らしさがあるから良い。やっぱり成瀬巳喜男の映画は凄い。

田中絹代は歳相応で抑え気味の演技が素晴らしいし(溝口健二作品の絹代も凄いけど無理のない演技と高感度はこの映画がダントツ)、
山田五十鈴と杉村春子も妙な美しさ感じられる。
それに栗島すみ子の存在感(若い時の彼女は是非とも「夜ごとの夢」「淑女は何を忘れたか」等を御覧下さい)!
若い高峰秀子と岡田茉莉子の対比も効いている。とにかくこの映画、女、女、女の映画である。

花柳界の春真っ盛りといった具合の光よう。通りを歩く女性達の足取りも何処か楽しげ。一方、借金踏み倒しで傾きかけた芸者置屋はから元気というか、何処か暗い影が差す。取立人を酒で酔わせて“逃げる”日々も限界が近い。

戦前も戦後も些細な違いはあれど女の意地の張り合いに変わりは無い。
芸者の世界は30過ぎたらBBAというほど選手生命短し恋せよ乙女。「君と別れて」といい、この辺の描写の生々しさよ。
しかし山田五十鈴といった戦前からガンガン演じてきた女性が言うと重みが違うねやっぱり。

それをせせら笑うように自由な猫は家と外を出入りする。
「人間よりも猫の方が大事」・・・今の時代はちょっと洒落にならんセリフになってしまった。

電動マッサージってこの頃からあったのか・・・。
しかし、女が髪をほどいたり結ぶ場面てどうしてあんなにも色ッポイのだろうか。

そこに家政婦はミタじゃないけど女中のお春さんこと山中リカ(45)がやって来る。最初この女性が田中絹代とは気付かなかった。
彼女は女達の様々な噂を耳にするが、彼女の心がそれで流れる事はない。それを観客同様に傍観するのかと思えば、彼女の存在が芸者たちを引っ掻き回したりもする。かといって狂言回しという役割でもないし、不思議な存在だ。
子供も大人も怖いもんは怖い注射。
それを「針が折れたらもっと大変よ」なんて黙らせてしまうお春さんは賢い。

もっとも、一番女達を振り回すのはタチの悪い男ばっかり何ですがね。男という濁流に流され翻弄される女たち。

満たされない女達は踊り、嘲笑い、哀しみ、怒り、憎しみをブチまけていく。
空も「稲妻」を鳴らして泣きじゃくる。

宮口精二が手のマメの話をしても石切というより竹刀ダコとちゃうんかと思ってしまう(「七人の侍」とか「無法松の一生(1958年)」とか)。

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