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沖縄の民 (1956)

監督
古川卓巳
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4.00 / 評価:10件

民間人は防空壕から出て行きなさい…

  • bakeneko さん
  • 2017年8月3日 19時55分
  • 閲覧数 749
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

「ひめゆりの塔」の原作者でもある沖縄の作家:石野径一郎が対馬丸の撃沈事件を題材にした“沖縄の民”を沖縄戦全体に物語を拡大して、1944年8月の対馬丸出港前夜から1945年6月23日の沖縄戦終結を経て、11月に疎開児童が帰って来るまでを、小学校から大学までの生徒や先生の視点で、セミドキュメンタリータッチで描いた作品であります。

本作を現在なかなか観ることが出来ない理由は、“沖縄戦を華燭無く描きすぎたから”であります。
つまり―
日本軍は軍事作戦を優先して、一般庶民の安全確保や保護を二の次にしたこと
高校生から大学生まで学徒動員して戦争に参加させ、多くを犠牲にしたこと
米軍は、ナパーム弾やガソリンを散布して、地上部を完全に焼き払う―無差別焦土作戦を展開したこと
日本軍は、投降兵や一般庶民に偽装して不意打ち攻撃を掛けたこと
一般庶民がアメリカ軍に投降する際に日本軍が障壁となったこと…
などが、赤裸々に映し出されますし、戦難と共に飢えが命を左右しだ状況もしっかり描かれています。
そして、実際の戦況と戦線の動きを図示する説明では日本軍が南端に追いつめられてゆく様子が克明に判りますし、北端に向かって一般人が逃れていったことも示されます。
「ハクソーリッジ」で描かれた“前田高地の戦い”もきちんと出てくる―正確な沖縄戦を逃げ惑う庶民目線で描いた作品で、実戦になれば軍隊は庶民を守ってくれない(=自分達同様国に命を捧げて当然と思っている)ことが判りますし、現在まで長く尾を引いている沖縄の日本本土政府への不信感の源が示されています。
左幸子、長門裕之、安井昌二、高友子、信欣三、織田政雄、金子信雄らが学校の先生や生徒達を、安部徹、二本柳寛、西村晃、二谷英明らが日本軍人を熱演していますし、米兵役の岡田真澄も説得力がある作品で、沖縄の墓地は逃げ込めるほど広いことも判ります。
軍作戦描写が主体の「激動の昭和史 沖縄決戦」とは違った目線で沖縄戦を総括している作品で、「ひめゆりの塔」と一緒に見て全体の戦況情報補完したい良心作であります。

ねたばれ?
本作の終盤は確信犯的に、(沖縄戦当時存在していなかった)映画製作時に沖縄を我が物顔で飛行していた軍用ヘリの姿やジェット戦闘機の音を劇中に映し出していて、沖縄では太平洋戦争の苦難はまだ続いていることを示しています。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

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