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世にも面白い男の一生 桂春団治

bakeneko

5.0

ネタバレ女は泣かしなや

桂春団冶の破天荒な生涯を描いた長谷川幸延の原作の最初の映画化作品で、森繁久彌&淡島千景&本物の大阪の街並みによって、“関西風味満載の芸人映画”の佳作となっています。 桂春団冶の物語は、ほぼ同じ脚本によって木村恵吾(本作:1956)とマキノ雅弘監督(藤山寛美主演:1965)によって2度映画化されています。 で、どちらが上かと言うと― 演出&テーマの描きだし方はマキノが上。 役者は本作の森繁久彌&淡島千景の方が上。 という事になっています(困ったもんだ)。 本作は他の女優陣に、高峰三枝子、八千草薫、浪花千栄子らも上手さと美貌を競っていて、更に、田中春男、横山エンタツらの芸達者も大挙して出演していますから、長門裕之が一人で頑張っている=“マキノ版”より役者の格は上であります。特に森繁の演技は抜群で、生き々と横紙破りの男の身勝手さを描き出しながらも、”愛すべきキャラクター”の魅力を創り上げています。そして、対する淡島も見事に森繁の演技を受けて、”おんなの意地と情感”を魅せてくれます。 ただ、監督自身が春団冶と同じく関西の”火宅の人”であったマキノ雅弘に比べて、やはり根が真面目な静岡県(三島市)人の木村は、”関西人の根底に息づくもの”までは感覚的に掴みきれていないような気がします。そしてラストシークエンスのウルトラCが鮮やかに決まったマキノ版のエンディングの切れも本作には欲しかった気がします。 主演の2人の演技だけでも元が取れる作品で、上方落語界の伝説のスーパースター=桂春団冶入門編でもある映画であります(同一脚本の2作品の“春団冶”を鑑賞するとしたら、1965→1956版の順がよろしいかと)。 ねたばれ? 1、いつも真剣勝負の演技合戦が見られる森繁と淡島の今回の見所は”高速○ッ○”(絶対アドリブだな!) 2、実際は人力車では寄席に通わなかったそうです。

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