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東京暮色

par********

1.0

ネタバレ余計なお世話だバカヤロウ

小津の封建主義まるだしな家族感が極めて不愉快だった。 妹・明子の死はまるで「母親が不在の家庭への罰」のように描かれており、片親で育った私からみれば余計なお世話だバカヤロウという気持ちになった。なぜ片親なら死なねばならんのだ。それが姉・孝子の娘の育児を再考させる”気づき”として描かれているのも輪をまして不愉快である。 映画ごときに家庭の事情をああだこうだと説教される言われはない。 個人的に小津映画の女性への封建的な扱い方が常々不快に思っていたのだが、本作はその思いがとくに強まった。この映画のように、女性がひとりで喫茶店にいるだけで警察に捕まる社会が”善い”などとは私は全く思わない。もちろんそれは当時の風俗と社会環境を反映した57年の日本に過ぎないのかもしれないが、どうも小津映画を見てるとこのひとは本気でそれを”善い”と思っていたんじゃないかなという気がしてくる。家長が女性を家政婦のように扱うのも違和感を覚えるし、それを相克しようという意志も感じられない。『一人息子』といった良策もあるが、 小津安二郎の映画は女性の苦労を描けても、その苦労に対する社会批判への視座が抜け落ちている。なので、けっきょく女性をイビるだけイビって、最後は男性のお説教を経て、いいお話ムードを出して終わってしまう。しかし小津映画の人物で問題あるのはたいてい男の側である。 妹・明子のような自由人のほうが正しいと私は思う。 戦後の自由主義へのウネリについていけない老人の繰り言の映画だ。

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