レビュー一覧に戻る
肌色の月

bakeneko

5.0

ネタバレゆっくり死んでもいられない

短編小説の名手―久生十蘭の遺作(結末部を夫人の久生幸子が加筆)の映画化で、皮肉&予想できない展開にハラハラさせられる“巻き込まれ型サスペンス”の佳作であります。 オープニングの状況からは思いもかけない方向にお話が転んでゆく本作は、稀代のストーリーテラーであった久生十蘭の捻った物語を楽しめます(まるでヒッチコックの幾つかの作品を連想させる“状況が分からない受け身サスペンス”の仕掛けも満載であります)。 そして、主人公が偶然巻き込まれた犯罪が2転3転することに加えて、登場人物も怪しい者が一杯&捜査する刑事達にも疑惑視されるという―ミステリーサスペンスの王道を愉しめる映画であります。 未完の原作に作者の夫人が加筆したものに、映画化に際して更に後半部を付け加えてお話を膨らませた本作では、終盤に端折った展開&説明されない論点が多々見つかるので、原作と比べたり、物語の整合性に“突っ込む”愉しさもある作品ですが、万人が楽しめるコンパクトに引き締まったスリラーであります。 ねたばれ?(回収されなかった仕掛け―鑑賞後に御読みください) 1、ボートの細工の謎は? 2、隠し財産は結局どこに? 3、主人公と出会わなかったら、どうやって証人を確保するつもりだったのだろう?

閲覧数245