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青い山脈 新子の巻 (1957)

監督
松林宗恵
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3.67 / 評価:4件

「古い上着」は軍服「淋しい夢」は帝国主義

  • ogi***** さん
  • 2018年11月11日 16時34分
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    • 総合評価
    • ★★★★★

「青い山脈・前後編」1949

沼田医師「なるほど新しい憲法や法律ができた。みんな(女学生達)が学校出て嫁に行く、すると姑や小姑たちからいじめられる。亭主からは時々殴られる。そういう暮らしに我慢してやっと経済的にも余裕ができたと思うと今度は亭主が酒を飲んだり女遊びを始めたり、そういう生活に耐えていくのには、ある程度馬鹿であることが必要なんですよ」

封建的男女差別、家制度が女性を踏みにじる悲劇は今も残っている。

島崎先生「あなたはこの古い町の中で本当にどんな気持ちでお暮らしになってらっしゃるんです?」

沼田医師「そうですね、親父の跡を継いで町医者になった。やがて地方の豪農から持参金付きの娘でも貰いますかな。働いて金が溜まったら博士の肩書きを買う。その間に綺麗な看護婦に手をつけて家庭争議を起こす。それから市会議員に出る。腹が段々突き出て物分かりのいい紳士になる。1人くらい囲い者がいるのも貫禄がついて悪くない」

島崎先生は沼田医師を平手打ちして去って行く。

沼田医師が冗談交じりに披瀝した男尊女卑の地方名士の人生観は、今だって生きている。あちこちの地方都市で起きるセクハラ事件がそれを証明している。

石坂洋次郎は、今は全く顧みられることがない作家だが戦後は大変な流行作家だった。民主主義、男女交際、反封建主義を分かりやすく描いた国民的作家だった。石原裕次郎主演で映画化された作品も沢山ある。

石坂洋次郎はもう古いのか?いや、彼が戦った戦前の価値観を復活させようとする連中が幅を利かしている今こそ見直されるべきだ。

松山淺子「私、手紙を書いたのは悪かったと思います。私達の母校を愛する純粋な熱量を先生に誤解されて残念です」

島崎先生「野田さんも松山さんも学校の名誉のためとか母校を愛する情熱とか言いました。そういう立派な名目で下級生や同級生を圧迫する。家の為、国家の為という事で個々の人格を束縛して無理やりに一つの型にはめ込もうとする。日本人の今までの暮らし方の中で一番間違っていた事なんです」

「古い上着よ、さようなら。淋しい夢よ、さようなら」

「古い上着」は軍服、「淋しい夢」は帝国主義。

この映画の最後は希望に満ちている。議論を尽くして多数決で決めている。反省した悪人とは和解する。

伊豆の海辺は光り輝く。

映画の制作者達はこれからの世の中を良くしていくんだという希望を持って映画を送り出した。なのに60年経過した今、意見を述べると叩かれる息苦しい国、同調圧力が人を押し潰す国になってしまった。

「青い山脈」は、石坂洋次郎は古くなってはいない。

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