かつて在った楽園に想いを馳せて
- bakeneko さん
- 2015年5月27日 6時22分
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1958年に東宝がカンボジア王国と共同で製作した作品で、太平洋戦争を経ても変わらなかった両国の友情と、後にポル・ポト政権によって文化的&物質的に徹底的に破壊される前の古き良きカンボジアの風物を東宝オールスターの現地ロケで描いています。
敗戦直前(1945年3月13日)に日本軍がシハヌーク王を擁立して完全独立させた恩義もあって、戦後も終始友好的だったカンボジア王国でのロケーションで作られた作品で、アンコールワットの遺跡やプノンペンの町並み、プノンペン宮殿、11月の水祭りの花火&ボートレースなどが眩しい陽光の下に刻み付けられています。
王国の皇女(安西郷子)と嘗て少尉として駐屯して皇女を救護した事のある青年(池部良)の友愛を清らかに描いた物語を、山口淑子、雪村いづみらの歌で彩っていく娯楽作で、言語は全て日本語で語られます。青山京子、山田真二のゲスト出演に、田中春男&東野英治郎&田崎潤がコメディリリーフとして加わっている作品でもあり、安西が歌うオリジナル主題歌や池辺の“荒城の月”等にセミミュージカル的な愉しみ方もできる映画となっています。
この数年後、南北に分断された隣国ベトナムでベトナム戦争が始まるとカンボジア国内は不安定化し、アメリカ合衆国と南北ベトナムの介入によってカンボジア内戦が勃発します。1968年にはアメリカ軍の空爆が始まって、1970年の親米派のロン・ノル将軍がクーデターによりシハヌーク国王を追放し、親米傀儡政権であるクメール共和国を樹立後しますが、内戦は一層激化して、アメリカ軍による空爆がカンボジア全域に拡大され、数十万人が犠牲となると、反米を掲げるクメール・ルージュ勢力の伸張を招きます。そして1975年に極端な共産主義を掲げるクメール・ルージュのポル・ポト書記長がクメール共和国を打倒し、民主カンプチアを樹立した後の惨劇は「キリング・フィールド」で語られていますよね。
かつて豊かで平和であったカンボジアが記録されている映画で、この後の苦難の歴史を考えると一瞬の平和が夢の様な作品であります。
ねたばれ?
ボートレースは“立ち漕ぎ”なんだ!(ひっくり返らないのかな?)
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