レビュー一覧に戻る
無法松の一生

kin********

5.0

ネタバレ古臭いけど

題名で検索したところ、この後にも1963年、65年とキャストを変え立て続けに作られ、戦前の名作と合わせれば4本もあることを知りました。それだけ無法松は魅力があり、俳優にとっても演じ甲斐のある人物なんでしょう。  本作の三船敏郎も日本人が愛する人物を生き生き演じています。    たまたまボンボンを助けたことから吉岡家との交流が始まり、映画は本題に入ります。それまでの、彼の人物を描くエピソードはひどく古臭く見えます。ことに、芝居小屋の木戸番とのいざこざから、笠智衆親分が乗り出して諭すと、無法松はすっぱりと謝り、 「できたできた。こんな竹を割ったような男は見たことがない」 で一件落着というのは、今の若者にはギャグにしか見えないのではないでしょうか。  また吉岡小太郎大尉が亡くなったあと、高峰秀子が息子に向かって 「あなたをお父様からお預かりしているんです」 というセリフなど、意味不明かもしれません。  といったさすがに今となっては古臭いところはありますが、無法松と母子の交流には互いを思いやる普遍的な美しさがあります。成長した敏雄が「ボンボン」と呼ばれるのを嫌がったり、翌日には息子が帰ると知らせる夫人に向かって「今夜は寝られませんな」と言うセリフなど、見事に人情を描いています。  そして圧巻はやはり、祇園太鼓を打つシーン。三船敏郎は大スターのオーラを存分に振りまき、実に楽しそうに演じています。ここ、高峰秀子も一緒に見る設定のほうがもっと映画的だったという気もしますが、それじゃ無法松が照れてしまって、そもそも打てないかな。  その後、戦前の作ではカットを余儀なくされた無法松の告白シーン。稲垣浩がどうしても撮りたかったのは分かりますが、酒造メーカーのポスターのくだりで吉岡夫人への思慕はよく分かるし、無いなら無いで良かったんじゃ? と思いました。  また死に際しての、それこそ走馬灯が回るようにモンタージュされるイメージはちょっとクドかったです。  とまあ、今となってはツッコミどころもあるけれど、喧嘩や祭りなどのモブシーンも華やかな、やっぱり名作です。

閲覧数779