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炎上

炎上

99

mil********

4.0

ネタバレ仄暗いものを抱いて

1958年 制作作品  言わずと知れた?三島由紀夫作品の映画化です。 今年で割腹自殺から41年ですが、昨年はかなり盛り上がったようですね。 横道にそれました。 社会的被差別階級とも言われる主人公溝口。 言葉の違いによって、強いコンプレックスを抱き、希望を持たない生き方をしてきた青年。 心がとても繊細。だからこそ、金閣の美しさと純粋さを守る事が何よりも心の支えになっているのです。 繊細で純粋だからこそ、戸刈の弱点を突かれた姿に己を重ねて激しく狼狽するのです。 自分と似ていて似ていない、尊敬の念をもっていた友人の本質が見えた時に、溝口は自己の本質について考え、狼狽し、絶望するのでしょう。 そして、自己価値を卑下した心が老師の心を理解する事が出来なかった為、行き違った想い。 心の死が溝口にとっての死であり、金閣の美しさと純粋さを守る為に、放火してしまうのか・・・。 そんな、物語でした。 原作は数回読み返しています。 溝口を演じ切った市川雷蔵、戸刈を演じ切った仲代達矢。 とても素晴らしい演技の共演です。 市川雷蔵が今なお生きていたならと思うと残念です。 寺という封鎖された世界を示すような仄暗い映像が心の奥底を感じ取ることの難しさと複雑さを暗示しているのです。

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