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彼岸花

彼岸花

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kun********

3.0

小津初カラー映画。

戦後13年、あの時代は少し過去に成ったのでしょうか?台詞の中に戦時中 の苦難を語るシーンは極わずか。主人公が「嫌な奴が威張りくさってた時より マシだな」みたいな。 大企業の常務の家庭劇ですから、庶民から見ると随分暮らし向きは豊か。 ゴルフしたり、タクシーを使ったり。 それでも父親が車を持つ迄でも無いでしょうかね。家庭内の家電はラジオ位。 それでも街の夜景に大写しで、ビクターテレビのネオンサイン。大企業常務の 家にも無いのに、テレビのネオンサインがビルの上に大きく輝いてる。 憧れの家電って何?と今問われてハテ?と答えられない位に何でも皆持ってる。 戦後13年ですから、庶民は食うのに必死が現状でしょうね。 テレビなんて俺ら買う事が有るのか?現実感が無いので、ただ憧れとしてテレビ ネオンサインをみてただけでしょうね。 娘が二人居て、姉が結婚する話のゴタゴタ劇ですから、他愛無いと言えばそうですが、 昔は今みたいに簡単に別れる時代じゃ無いので、人生の一大事感は半端ない。 今は勝手にくっつく離れるお構いなしで、仕方ない、当人の問題として、流す けど、当時は特に常務の家庭だからかもしれないが、結婚のハードルの高い事。 妹が「お父さんは封建的よ」って言ったけど、久しぶりに封建的って言葉を 聞きました。そう言えばお前は考え方が封建的とか言ってた様な気がする。 今使う場面は無いでしょう?使ってる人居るのかな? 彼岸花の題名ですが、ネットで探るけどはっきりした答えが無い。 自分なりの解釈だと、女優さん達の赤い唇の事じゃないかな?と思いましたが。 初カラー作って事で、色を使える。 一番人間にとって印象的な色は赤ですから。それは血液の色。 血が出る事は死のサイン。これが一番重要な色に間違い無い。 ここでは、血じゃなく、唇の色だから、危険のサインって言うより、喜び 妖艶、魅力、悩ましさみたいな生命の発露の方。 黄金色に広がる田圃に鮮やかに彼岸花が咲いてる様。 つまり 戦後の瓦礫から復興した、豊かさを象徴した、赤い色。 ビルのシーンが幾度となく出てくる。 ビクターTVのネオンもそうだし、走り去る電車もでしょうね。 東京では豊かな香りも出て来た時代だったんでしょう。 私は九州の炭鉱町に住んでてこの頃は小学生。 道はアスファルトでも無く、信号すらなく。 橋は木の橋が多く、コールタールの匂いがたち込め、その下に人が住んでた。 近所にオート3輪車が1台あって、それが憧れの自動車で、通り過ぎるのを 見つめ、ドアも無いむき出しの助手席に乗りたいと願望してましたね。

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