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彼岸花 (1958)

監督
小津安二郎
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3.95 / 評価:96件

ギリ、ギリ、ギッチャンボ

  • たーちゃん さん
  • 2021年2月2日 20時21分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

小津監督のカラー化の一作目だそうです。タイトルの文字からもわかりますが、カラーという事でかなり色を意識した作品です。特に赤い色の鮮やかさはとても目を見張ります。
小津調と言われるローアングルの映像は健在で、しっかりとした画面構成が素晴らしいです。
ほとんどがスタジオ内でのセット撮影だと思われますが、照明の技術も高くとても自然に見えました。
BGMや自然音、ピアノの音をうまく多様していて、画面に魅力をプラスしていました。

作品的には佐分利信さん演じる平山渉と有馬稲子さん演じる娘節子の結婚話です。それに奥さん役の清子役に田中絹代さん。娘の恋人谷口正彦役に佐田啓二さん。平山の馴染みの旅館の娘佐々木幸子役に山本富士子さん(すごいキレイです)。その母親佐々木初に浪花千栄子さん(NHK「おちょやん」のモデルです)。友人の三上周吉に笠智衆さん。娘の文子に久我美子さんと豪華俳優陣の共演です。みんな若くて素晴らしいです。
脇役の俳優陣も家政婦の富沢に長岡輝子さん、料亭のおかみに高橋とよさん、パーの女給のアケミに桜むつ子さんと昔の俳優は脇の芝居もとても光っています。

平山が娘を嫁がせる父親の心情を佐々木家、三上家のそれぞれの娘との生き方を比較してうまく描いています。
自分の娘には良いところに嫁がせようとする平山ですが、幸子には「結婚なんてする事ないよ」と言ったり、自分の娘が好きな人と結婚したいと言うと反対するのに、幸子が好きな人が出来て結婚する事を相談すると「二人で責任とれるなら親がなんと言っても結婚した方がいい」と言います。
これが以前節子と幸子が結んだ同盟によって、幸子にだまされて平山が結婚を許可する流れになるのですが、この時の山本富士子さんの演技がかわいらしいです。
レビュータイトルにつけた「ギリ、ギリ、ギッチャンボ」は二人で約束を交わした時の指切りのセリフです。これ調べたのですが、どこにもないのですが小津監督のオリジナルなのでしょうか。

細かいところでは平山家に訪ねてくる初が清子と話している最中にトイレに立った時にほうきがさかさまに置いてあり、それを初が気が付きフックにかけ直してからトイレに向かうシーンがありますが、来客に早く帰ってほしい時にほうきを逆さまに飾るという言い伝えが昔からあるので、その辺は清子の心情をうまく表現しているなと思いました。

谷口がアポなしでいきなり会社の平山を訪ねて「娘さんをください」と告白するシーンがありますが、かなり無謀だなと思いました。ましてや節子にも黙って行動したというのは、時代的にも礼儀的にもこれはないなと思いました。きちんと節子と一緒に家の方に行って挨拶すればここまで平山も反対しなかったのではと思います。わざと反対させられに行ったような気がしました。

セリフで独特の口語体で「めっける(見つける)」「ちょいと(ちょっと)」とか「いゃあ」とか「ふーん」とか「はっ」とかのセリフが気になりました。この松竹調というのは山田太一さんのシナリオにも共通するものだと思われます。小津監督は俳優の一言一句、指定されたものでないとOKは出さなかったらしいです。

全てがワンカメで、編集によってつながった芝居に見せる技術は素晴らしいです。俳優の目線・動きがきちんと整理されています。
ワンショットの演技は相手役がいない中での演技だと思うとその説得力の強さ・演技力の大きさが感じられました。

詳細評価

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