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完全な遊戯 (1958)

監督
舛田利雄
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3.57 / 評価:7件

若き日の小林旭の真っ直ぐな瞳

  • nqb******** さん
  • 2012年4月27日 0時56分
  • 閲覧数 829
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

原作は石原慎太郎だそうである。ちょっと調べてみたら、映画になったものとはだいぶ内容が違うみたい。小説は精神障害のある女性を拉致誘拐して輪姦を繰り返し最後には崖から突き落として殺害してしまうといった内容のようである。むろん読んだことはない。しかしながら現東京都知事である石原慎太郎が過去にこういうような小説を書いていながら、都青少年健全育成条例改正案が可決されたことに反発する輩が多いのも事実のようだ。


 映画のストーリーは暇をもてあました大学生4人がなにか上手い金儲けの話はないかと画策するところから始まる。この四人の中の一人大木荘二(小林旭)が一応の主人公になってる。リーダー格の戸田(梅野泰靖)が立案した競輪ノミ屋詐欺を実行する。これはどういうことかというと、この当時、つまり昭和33年当時は今ほど情報網が発達していないのがミソ。驚いたのが、競輪場でレースが発走してしまってからもまだ車券をノミ屋では売っているのである。電話がようやく普及しつつあるといってもまだまだなこの時代はレースの結果がノミ屋でわかるまでには5分ほどの「時差」があったのである。つまりこの時差を利用して“結果がわかったレースを買う”という離れわざが出来たのである。
 
 この前半部分がかなり見せる。ストップウォッチを使ってシミュレーションまでやってたりして、果たして上手くいくのかっていうサスペンスがかなりある。もうひとり必要ということで顔はバタ臭いが、あまり素行はよくない和(岡田真澄)を引き入れる。

 このノミ屋の元締めが鉄太郎(葉山良治)っていうヤクザ。でもとってもまじめそうで全くヤクザに見えない。ノミ屋に来ている客に対して「これを最後にまじめに働きな」とか言ったりする(笑)心臓病を抱える年老いた母親が居て、妹の京子(芦川いづみ)はデパートガール。ノミ屋の手伝いに京子が来ていてこれを荘二たちは覚えてる。さて作戦は成功して34万からの大金をせしめた荘二たちだったが、ノミ屋の胴元、鉄太郎は金がなく配当金が払えないという。とりあえず半分ほどは払ってもらえたが後の半分はどうなるか判らない様子で鉄太郎の親分の所まで連れてゆかれ、「オレの顔に免じて今日は帰ってくれ、学生さん」と逆に脅される。腹の虫が収まらない戸田らは鉄太郎の妹、京子を拉致して鉄太郎に金を持ってこさせようと画策。

 京子が拉致されたことを鉄太郎に知らせに行く人物が必要ってことで荘二がまず、京子を誘ってそこに戸田たちが来て荘二をなぐる芝居などして京子を拉致する。そうすれば荘二は仲間だと思われないっていう作戦。だけどプロットが弱い、弱すぎる。無理やり感が否めない。作劇上、どうしても荘二が京子を誘う場面が必要だからこんな回りくどいことするのだろうが、京子が誘拐されたと鉄太郎に知らせに行くのはなにも荘二(小林旭)である必然性は全くないからだ。

 それをいってしまえば実も蓋もない。実は小林旭が芦川いづみを誘うシーンがこの映画の中で突出してよく出来ているも確かなのだ。荘二は、手始めにデパートでエスカレーターガールをしていた京子に会いに行き、手紙を渡そうとするが、その場で破り捨てられてしまう。さらに、彼女の帰宅時を狙って、デパートの裏口に待っていた荘二は声をかける。ところが京子は、私に手紙をくれる人は一日に10人、声をかけて来る人15人、身体に触って来る人が20人もいるので、何とも思わないと冷たくあしらわれてしまう。

それでも何とか粘って口説き倒し、喫茶店に連れ込んだ荘二だったがノミ屋にいた事を京子に見破られていた。こうして警戒心いっぱいだった京子が天真爛漫なぼんぼん育ちの雰囲気を漂わせる荘二に徐々に心を開いていく描写が圧巻。しかしながらそれは次々と起こる悲劇の連鎖につながっていくのであるが…。

 正直それほど特筆すべき作品ではないかもしれません。上記のようなご都合主義的なストーリー展開もありますし、メッセージ性もそれほど強くありません。出来としてはそれほどいいとは思えませんが、このときの小林旭と芦川いづみはとってもいいです。好きな作品です。若かりし小林旭のまっすぐな瞳を堪能すべし!

詳細評価

物語
配役
演出
映像
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