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お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷

bakeneko

5.0

ネタバレ腰元まで凝ったメイクをしなくても…

大岡越前の時代の江戸を舞台に、勘当中の歌舞伎役者:文七が活躍する―横溝正史の短編集“役者文七シリーズ”の映像化作品で、主演を中村錦之助が演じる他に中村一門総出演の歌舞伎シーンが見所の時代劇ミステリーであります。 横溝正史の時代推理ものとして、人形佐七シリーズほど知名度はありませんが、はぐれ歌舞伎役者が素人探偵となって江戸の猟奇殺人事件を捜査する“役者文七シリーズ”も優れた短編集となっています。 本作は、輿入れ前の大名の娘に危害が及び“20年前に皆殺しにされた因縁の土蜘蛛一族のたたり”が恐れられ―という伝奇的殺人事件に偶然関わり合った主人公が奔走する一遍で、 “現在父親の悋気に触れて勘当中”という主人公の境遇と、 役者である特技を生かした七変化、 修行中の道場での師匠 懇意にしている町与力や町奉行大岡越前との邂逅 恋愛以前である町娘 …といった人物紹介&キャラクターの能力が提示されます。 興味深いのは主演の中村錦之助と劇中の役者文七の境遇が似ていることで、 歌舞伎役者では飽きたらず“ふらふらして自分探しをしている”主人公を、梨園から映画&舞台に飛び出した錦之助がセルフパロディとして演じていますし、それを心配して見守る父親&兄弟を本当の中村一門(父親:中村時蔵―本映画の年に急逝、兄―中村芝雀)が演じています。したがって本当の中村座総出演である劇中の“女暫”の場面は本編以上の見所かも知れません(映画中では他に弟―中村賀津雄は与力役、中村歌昇は勝田駿河守で出演しています)。 皆殺しにされた一族の祟り―「八つ墓村」、 三人娘―「犬神家の一族」etc 旅一座のトリック―「病院坂の首括りの家」 …等、後の名作へ引用されたシチュエーションも垣間見える作品で、片岡知恵蔵を始めとした東映重役総出演ですし、悪役達の“悪のりメイク&歌舞伎扮装”や、桜町弘子、花園ひろみ、雪代敬子、日高澄子、喜多川千鶴といった女優陣も華やかですよ♡(なんと24歳の赤木春恵の姿も!―昔は綺麗だったのね!) ねたばれ? 1,土蜘蛛一族といっても人間なんだから、小道具をつかったり、歌舞伎風の凝った扮装をすると反って怪しまれるのじゃあ… 2,きっと次女を亡き者にしても、次は三女が嫁に行くと思う(陰謀成就には先が長いなあ~)

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