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氾濫 (1959)

監督
増村保造
  • みたいムービー 4
  • みたログ 32

3.70 / 評価:10件

欲望の「氾濫」と生きることの不条理

  • じゃむとまるこ さん
  • 2010年10月3日 16時11分
  • 閲覧数 638
  • 役立ち度 14
    • 総合評価
    • ★★★★★

大阪は大雨です、今の私の心のように。

増村保造監督「氾濫」を観ました。
増村映画の特徴はエゴと欲望に忠実に生きる人間の本性を描き出すこと。
そして、そんな人間の安らげる場所はない、欲望に呑み込まれて破滅していくか、人生への諦念を持って隠遁生活を選ぶか?

思わず嗚咽が漏れた。
生きるとは、仕事とは、夫婦とは。

ある年齢を過ぎればわかる、若い方には実感としてわからないでしょうが、不条理な人生、もの凄く辛い映画です。

所詮人生とはこんなもの、と思う、そんな人生ばかりではないとは
わかっていても、この映画が名作として数少なく映画史に残っているのは、一面の真理だからでしょう。

主演は佐分利信、才能があるが故に社会的成功を収め、欲望の氾濫の渦に呑み込まれていく真田左平。
仕事一筋の夫に不満を募らせ若い男に走る妻、会社での立場が危うくなった真田に大学での地位を餌に金をせびる大学教授(友人か?)、愛人への手切れ金を必要としている。
唯一の安らぎは元恋人との逢瀬であるが、彼女もまた、金目当ての女でしかなかった。

川崎敬三演じる若き研究者、種村恭助、彼は真田とは対極にある人物です。
才能はあるが、努力の出来ない野心家。
女には目がなく、次々と実力者の娘をものにして、出世をしていく、良心のかけらもなく金にも汚い、しかし社会的成功はもう手の内に入れている。
それが幸せなのかどうかはわからない。

諦念の中に安らぎを見いだす真田。
欲望の頂点を手に入れたかのような種村。

ラストシーンはお見事、余計なことは一切語っていません。

人物造形の俗っぽさ、容赦のない汚さ、その中で蠢く人間の欲望を描いて秀逸です。

原作は伊藤整ですが、増村カラーに呑み込まれてしまっているように思います。

i959年作ですから、皆さんお若いです。

真田の娘・・・若尾文子、大学生です。
真田の妻・・・沢村貞子、巧いですね~。

豪華キャストですが、佐分利信、このような俳優は今後現れないでしょう。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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