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氾濫

氾濫

97

bakeneko

5.0

ネタバレ汚い白衣だなあ~(コンタミするぞ!)

伊藤整の代表作の大映&増村保造監督による映像化作品で、高度成長期の化学企業を舞台にした“エゴイズム群像劇”を大映のオールスター共演で見せてくれます。 物語の核となる画期的な発明をした合成化学者に群がるーもっと才能を搾り取ろうとする経営者、女達(ピアノ教師によろめく妻&かつて関係のあった女教師)、娘に言い寄る野心的科学者、金に困った友人…のエゴと欲望を華燭なく描いて、成功の華やかな座にある現代人の孤独を浮かび上がらせていく作劇となっていて、佐分利信が踏んだり蹴ったりの転落劇に翻弄されます。 高度経済成長期の躍進していく日本の影で氾濫していく日本人の精神的な荒廃を活写して、経済的な繁栄と平行して肥大化していく人間の欲望とモラル無き新世代の登場を見せていく作品で、旧タイプの仕事人間の近侍&センチメンタリズムにシンパシーを感じながらも、時代&価値観が変わっていく転換期を映画に刻み込んでいます。 現代日本の社会にも繋がる“信念なき欲望主義”の台頭を活写した作品で、科学者は当時から“専門馬鹿”として安月給でこき使われていたことが分かります(涙)。 ねたばれ?(脱線) 1、画家のベレー帽と同様に科学者の記号として出てくる白衣ですが、 ネクタイをした上に白衣を着ているのは医者ぐらいのもので、実際の研究者はよほど汚れる&危ない物質を取り扱う際以外はあまり白衣を着ませんし、あれは作業着ですから人に会う際は着替えます(もう10年近く着ていないなあ~)。 2、文学部に化学論文の英訳が出来るものか!

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