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野獣死すべし (1959)

監督
須川栄三
  • みたいムービー 3
  • みたログ 51

3.63 / 評価:30件

銃身はブレず、冷酷に的を射る

  • kor******** さん
  • 2014年7月28日 17時27分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

原作は大藪春彦のハードボイルド小説。これまで幾度となく映画化された名作であるが、現在では松田優作の主演作品として認知する人も多い。なんであろう私もその一人。だからこそなぜ59年版の作品にレビューをしているのかというと…まず、これはけっして間違いではないということを強調したい。なぜなら原作の映画化第一作目を観る事は映画好きとしてけっして間違った行いではないのだから。そう自分に言い聞かせ、いざ観賞だ!

仲代達也扮する伊達邦彦は大学で優秀な成績を残す傍ら、金目当てに殺人を犯す完全犯罪者である。自動車、拳銃、無線を自由自在に使い、巨大権力をあざ笑うかのような理知でドライな主人公。仲代達矢の特徴的な声のトーンが人体の熱を感じさせぬ無機質で恐ろしい雰囲気を醸し出し、同時に誰も真似できない魅力に富んだ稀代の犯罪者を作り出している。

劇中には哲学や精神論が散りばめられ、謎に包まれた犯人を突き止めることは「海の中から小砂利を探す作業」といった洒落た台詞が組み込まれている。勿論犯罪学や心理学といった面で伊達を捕らえようと必死になる警察であるが、伊達の「真面目は損をし、ずる賢い奴が得をする。要は金がなければこの世の中上手く生きていけない」といった、けっしてブレることのない理路整然とした思考の前では、恋や仕事に揺らいでしまう弱い精神では勝ち目がない。

弱肉強食な資本主義社会。強ければ生き、弱ければ死ぬ。この勝者と敗者の構図が浮き彫りとなり、アメリカ化が進んだ安保闘争の真っ只中の時代だからこそ秀逸な世界観が生み出せたのかもしれない。けっして理解できない(したくない)アンチヒーローであるが、捕まって欲しいような欲しくないような魅力を備えており、観ている側の感情を揺さぶるから悩ましい。陽気なハワイアン音楽が流れる中、ステーキを頬張る肉食系男子に憧れ、そして崇拝にも似た視線を送ってしまうあなたは果たしてどちら側の人間だろうか?一つ言えることは主人公のブレない銃身はパッケージを見た瞬間私の心を射ていた。


・余談

・殺人は上手くても、拳闘(ボクシング)はド下手。

・捜査にも科学の時代だけれど、現場の指紋やタバコの吸い殻まで手が回りません。

・次回は藤岡宏が主演を務めるバージョンを(間違えて)借りてしまったら、それもまた面白いかもしれないと思う映画好きが一人。

詳細評価

物語
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