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春の夢 (1960)

監督
木下恵介
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3.89 / 評価:9件

全ては春の夜の夢の如し

  • bakeneko さん
  • 2011年12月5日 12時28分
  • 閲覧数 724
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

木下恵介の“遊び感覚”が愉しい“ディフォルメ&寓話コメディ”の佳作で、製薬会社の社長宅を舞台にした群像喜劇の中に、風刺と人間ドラマを楽しむことが出来ます。

え~、本作は遊び心溢れるとても楽しい佳作ですが、木下作品としてはあまり知名度のあるものではありません。その理由は、一般的な木下の代表作品(=豊かな抒情性や絢爛たるドラマ性に唸らされる緻密な名作)とは毛色が違うからであります(多くの偉い評論家の作品論からすれば例外的で都合の悪い“規格外”映画だったのですね)。木下は決してウエットな作品を正攻法に描いた作家というだけではなく、本作の様なドライな小品を風刺演劇的な演出で撮っていたりもしていて、一般的な木下の映画のイメージからちょっと異なる魅力の映画になっています。
本作が創られたのは1960年ですから、真面目な名作「風花」と「永遠の人」に挟まれて、息抜き的な楽しい騒動劇を見る事が出来ます。
意識的に“舞台演劇”風にした振付は、登場人物の比喩性やディフォルメによって、現実から浮かび上がったものとなっており、ドライで狂騒曲的な展開は後の森田義光作品の嚆矢とも言えますが、贅沢な配役陣とそれぞれの名怪演によってより奥深く明るいものとなっています。
そして、映画ファンならば沢山の文学や洋画のパロデイを見つけることのできる作品で、基本構成であるシェークスピアの“真夏の夜の夢”を始めとして、「百万長者と結婚する方法」、「レベッカ」、「見知らぬ乗客」等、沢山の1950年代の名作を連想させて笑わせてくれます。

気楽に笑える木下監督作にしては異色のドライな風刺喜劇で、いつもの正統派ドラマで唸らせてくれる木下組の俳優達の違う一面を楽しめますよ。


ねたばれ?
あの2種類の旗は共存できないよねえ

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