レビュー一覧に戻る
大いなる旅路

bakeneko

5.0

ネタバレ和風“鉄道員”も、やっぱり大酒飲み

東映お得意の“蒸気機関車映画”の代表作の一つで、盛岡駅線路区で機関車に勤務する頑固な鉄道員の戦前から戦後高度成長期までの鉄道人生を、激動の歴史と家族の変遷を並行して描いた“庶民史&人間ドラマ”の佳作ですが、様々な種類の蒸気機関車が登場して多様なカメラアングルで雪国での力走映像を魅せてくれる、SLファン必見のお宝映像映画でもあります。 “わ~!本物の機関車に何ということを!!”劇場で“鉄ちゃん”達の悲鳴が上がりました。 え~、東映映画と言えば“チャンバラ&任侠&暴力団”映画が有名ですが、“鉄道もの”でも多くの名作を創っている―“鉄道映画の老舗”としても一部で有名であります。 一人の朴訥な鉄道員の人生に焦点を当てて、時代の移り変わりと家族の歴史を、駅と列車の情景を中心に見せてくれる作品で、雪国を疾走する汽車ならではの情景や危ないスタントを含めて、工夫&凝った実写映像が必見の映画でもあります。そして、人生の岐路や出発点を“駅”に集約して見せるドラマ作りも秀逸で、仕事に生きる男の人生と家族を描いて日本人の心象風景の原典を郷愁に包んで見せてくれます。 鉄橋や土手を走る夜汽車の暖かい影絵の様な美しさは心に残りますし、1960年代の盛岡駅周辺の風景も今となっては懐かしい記録であります。そして、鉄道マニアにとっては機関車の違いによって操縦系統も変化していく様等、マニアの泣き所を突いたディテイルへの拘りに感心させられる作品であります。 ピエトロ・ジェルミの「鉄道員」と比較して見ると、イタリアも日本も機関車長の気質は頑固一徹で同じことが判る―“鉄道&人間ドラマ”の傑作で、(出演の高倉健も含めて)最近の「鉄道員(ぽっぽや)」へと繋がる東映鉄道映画の系譜の最盛期の一作であります。 ねたばれ? 機関区への立ち入りや走行中の列車内外の撮影など、当時の国鉄は映画創りにとても協力的であったこともわかります。

閲覧数1,446