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ぼんち (1960)

監督
市川崑
  • みたいムービー 17
  • みたログ 125

4.10 / 評価:51件

女の美しさと怖さが同席した作品

  • gar******** さん
  • 2010年3月20日 12時04分
  • 役立ち度 13
    • 総合評価
    • ★★★★★

舞台は、大阪船場。伝統と格式を重んじるこの町で5代続く足袋屋の当主喜久治(市川雷蔵)の姿から、船場に生きる人々の人間模様を映し出したドラマ。
『不毛地帯』や『沈まぬ太陽』のドラマ、映画化でさらに注目されている山崎豊子さんの船場物(大阪の商家が舞台の作品)の映画化。
船場物といえば、大映は若尾文子さんや京マチ子さん、そして田宮次郎さんを使って『女系家族』を映画にしています。こちらが、伝統と格式(それは因習に他なりません)に縛られた女性たちのドラマだとすれば、この作品は女系という家庭環境にメゲることなくたくましく生きていく一人の男性の生き様を、モダンなテイストあふれる映像を持った良作です。
まず何より素晴らしいのは、市川雷蔵さんです。私はこの人の出演作を今回初めて見ましたが、実に素敵な二枚目です。船場のぼんぼんというどちらかといえば女性的な雰囲気をまといながらも、男性的な強さとたくましさ、そして洒脱さを持った喜久治を好演しています。早くに亡くなられたのが惜しまれますが、二枚目ながら確かな演技もまた魅力的です。
そして、この映画を彩るのは女性たち。喜久ぼんの妾になっていく女性たちの、ぽん太の若尾文子さん、幾子の草笛光子さん、比沙子の越路吹雪さん、お福の京マチ子さんの四人に出番は少ないがぼんの妻になるが姑二人にいびられる弘子を演じた中村玉緒さんという実に魅力的な女性陣がそろってます。特に私が好きなのが、若尾さんのぽん太です。「心底芸妓なんです」と公言する花柳界の粋な物腰に、若い女らしいピチピチとした魅力、そしてお手当をいただく時の何ともチャッカリした性格まで生き生きと楽しく演じていました。特に魅力的なのがぽん太が喜久ぼんのお座敷に初めてやってくるシーンです。ぽん太は、御贔屓の旦那たちからもらった指輪を10本の手の指と足の小指に一つ付けています。しかしぼんの「これからは一つだけにしてやるで」のセリフで指輪を外していきます。この時の若尾さんの仕草は、愛嬌と図太さが同居していてユニークです。ぽん太というキャラクターがどういうものなのかをあのシーンは、見事に表現していたと思います。
そして、強烈なキャラクターなら毛利菊枝さんのぼんの祖母きのと山田五十鈴さんのぼんの母勢以でしょう。船場の因習を体現するかのようなこの母娘は、ネチネチとした意地の悪さやえげつなさを体現したような人物です。特に中村玉緒さん演じる弘子を野菜の切り方でイビる所や弘子の月のものを調べるために厠の中をかき回す(これはヤダ)所などは、そんな底意地の悪さやえげつなさが際立ちます。他にもあの手この手でぼんに絡んでくるこの二人を演じた毛利さんと山田さんの演技もまた、この映画の見所です。
伝統と格式と格闘しながらたくましく生きた男の半生を、モダンな映像で描いた文芸ドラマ。女の美しさと怖さが同席した作品です。

詳細評価

物語
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演出
映像
音楽

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