娘・妻・母
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(18件)


  • le_********

    5.0

    いろいろな出来事がありながらも、失われぬ言葉の美しさ・気品ある所作

    監督:成瀬巳喜男、製作:藤本真澄、脚本:井手俊郎、松山善三、撮影:安本淳、照明:石井長四郎、音楽:斎藤一郎、主演:原節子、三益愛子、1960年5月、122分、カラー、配給:東宝 坂西家に、嫁に行った長女・早苗(原節子)が、夫婦喧嘩をしたといって戻ってきていた。坂西の家は、早苗の兄で長男の勇一郎(森雅之)・和子(高峰秀子)夫婦と、勇一郎と早苗の母・あき(三益愛子)、夫婦の子・義郎(よしお、松岡高史)の他に、あきの三女・春子(団令子)が住んでいる。二女・薫(草笛光子)は谷英隆(小泉博)に嫁いでおり、英隆の母(杉村春子)と同居、二男・礼二(宝田明)は独立し、年上の妻・美枝(淡路恵子)と住んでいる。 早苗の嫁ぎ先である日本橋の家から電話があり、早苗の夫がバスの転倒事故に遇い、死亡した。不在中にそんな出来事があり早苗は後悔の念に駆られつつ、葬儀に参列する。早苗はそこから追い出されるように実家住まいとなる。それでも和子は、早苗を義理の姉として丁重に接するのであった。・・・・・・ 坂西の家に、悲喜こもごもにいろいろな事態が起きる。夫の死により嫁に行った娘が戻ってくる、兄弟やその妻があきの還暦祝いに集まる、春子の勤め先の醸造会社の地元・山梨で、礼二やその親友の醸造技師・黒木信吾(仲代達矢)らと「恋愛シーン」の撮影ごっこを行ない、その8ミリを還暦祝いの後に皆で見る、勇一郎が大金を貸していた和子の叔父・鉄本庄介(加東大介)の工場が破産する、そのカネは勇一郎が母親にも内緒で自宅を抵当に入れてまでしてつくったものであった。 一方、薫は姑との同居に嫌気がさし、英隆と出て行く姑に迫ると、姑のほうが憤って老人ホームに逃げ出す。そのために、当座必要なカネを早苗に借りる。 こうして、それぞれに家にもいろいろな出来事があったあと、いよいよこの家を手放さなければならなくなると、母・あきの処遇をどうするかという問題が起き、兄弟が集まって相談をする。あきは薫の姑に会いに一度老人ホームを訪れたことがあり、自らそうしようとも思う。和子は、あきを放っておけないとし、自分たち夫婦で引き取ろうと勇一郎にもちかける。早苗は、友人の保険外交員・戸塚(中北千枝子)がもってきた五条(上原謙)との縁談を進め、あきにも一緒に来てもらおうと考える。五条は京都在住の茶道の家元で格式高い家柄であった。 ラストで、当のあきは、近くの公園で幼子のお守りの手伝いをする老人(笠智衆)との会話から、それなら自分にもできそうだと思い、老人のあやす子供を自分が抱いてみるのだった。 女性中心の映画が多い成瀬であるが、本作品では、妻とその母、つまり姑、妻と小姑、また、母からみた娘たちの姿が、それぞれ抱える問題とともに描かれる。以上のような出来事が起きるなかで、母と娘、妻と姑が、それぞれ慈しみ合い、三女の春子がいちばん言いたいことを言うとすれば、それ以外の女たちは、むしろおのれの言いたいことを多少遠慮してでも、母に対する思いやりをかかさず、周囲が円満に進むよう努めている。 本作品はカラーであるが、家やその前の路地、台所や畳敷きのへやなど、かつての典型的な日本家屋が映し出され、とても懐かしい風情を楽しめる。出演者も、春子や美枝以外の女性は、常に和装であり、日常のなかであたりまえであった昭和30年代が偲ばれる。あきの還暦祝いには、兄弟みんなが贈り物をするが、礼二・美枝夫婦が贈ったものは、四つの丸い足が付いた電気式マッサージ機であり、かつて我が家にもあった物で懐かしい。 他方、成瀬の作品には、きれいな女優の登場と同時に、常にカネの話が出てくる。勇一郎は、投資に回すとして早苗にカネを借りる。薫も、アパートを借りる当座の資金を早苗に借りる。早苗は、夫の死亡保険金で100万円を所持していることがわかったからだ。家を売却するについても、小賢しい春子をはじめ、兄弟は、自分たちがいくらもらえるのか皮算用する。 本作品でおきる出来事は、多かれ少なかれ、どこの家庭にも起きることだ。成瀬映画では、毎度借金の話が出てくるが、それを含め、カネの話は、人間が生活していくうえで避けて通れない。 当時の豪華な俳優陣を集め、気品ある所作・言葉の美しさ・礼儀作法・食卓での会話など、現在の日本社会が忘れがちな要素がたくさん詰まっている作品に仕上がった。しかも、それらを丁寧なカメラワークで撮っている。カメラはほとんどが人物の目線の高さで撮られている。 ただ、当時、こうした映画がどれくらい受け入れられたかわからない。当時の美人スター・イケメンスターを出すことで一定の人気は呼んだであろう。それでも、当時の他の監督とは異なり、女性を中心としてその日常の姿を「映像」でありのままにとらえていく、・・・そうした信念を、他の作品より強く感じる。本作品の直前に『女が階段を上る時』(1960年1月)が撮られている。 1960年といえば、安保改定の年であり、それは6月に迫っていた。世の中は政治面では騒然としていた。そうした時期に、日常生活における女性の美しさ・気品・思いやりなどと撮り続けたのだ。 俳優の演技では、日常の所作ほど難しいものはないと言う。演技合戦、正確には、表情の演技合戦が見られるのも楽しい映画なのである。

  • WXYは知ってても、それだけじゃ

    3.0

    はい、さようでございます。

    孫、嫁、小姑、舅、姑、誇張し過ぎない物言いで言い合う家族の風景。さざ波が来ても大声は出さない事でしんみり感を醸す。

  • poi********

    4.0

    小津へのオマージュなのか?

    タイトルバックと言え、原節子の役どころと言え、小津を思わせるところ大。 空前絶後の配役に恐れ入った! 最後の笠智衆の姿に涙した。

  • ami********

    4.0

    近頃は女と靴下は強くなったと言うけれど、

    しかし原節子さんは、淑やかな役がぴったりですわ。 嫁に行っていた長女が、夫に先立たれ、実家に戻って くるので、高峰秀子さんの小姑役でもやるのかと 思ってたら、やっぱり違いましたわ。 その原節子さんが、夫と喧嘩して実家にちょっと戻って 来ているときの台詞「近頃は・・・」は今でも名台詞 として残ってますわね。おほほ。 いつもの成瀬組の俳優がたくさん参加されていますが、 やはり、この原節子さんと高峰秀子さんは味があるわね。 ちなみに、途中で出てくる草笛光子の家のコタツが 異様に小さくて驚きますわよ。 関係ないけど、草笛さんは、高峰さんより10歳若いのね。 そうは見えなかったわ。 高峰さんがちょっと現代的なお顔立ちなのね。 きっと。

  • kih********

    5.0

    老後になる前に見ておきたい辛い映画

     娘・妻・母。タイトルから、一人の女の生涯かと思ったら、同居している母娘家族のことだった。女の苦労の物語ではなくて、女たちの関係の難しさの物語だった。  しかし、これは女たちに限った物語でもなかろう。とかく男は影が薄いけど、どなたか『息子・夫・父』というタイトルで、家族の人間模様を書いていただけないものか。いや、それは無理な話、映画にはなるまい。  ま、ね、分からないこともあるってことも、分からないとね。ちょっと辛いけどね。どなたかが本作の中で仰った「他人だと思えば……」というのも、言われてみればそうだよね。  母と娘、親と子、血の繋がりが唯一絶対のように考えるのはひょっとしたら勘違いかもしれない。子育ての間だけのことかもしれない。子育ての間というのは、やがて「他人」になっていくための準備なのかもしれない。それは、親が子に対して育てることであるのと同時に、親が自分の覚悟を固めていく自分育てなのかもしれない。もしそうであるなら、それは早めに気づいておかないとね。こんなはずじゃなかった、と涙で暮れる余生というのはちょっと辛いし、悲しいし、寂しい。  私も、高齢者施設を物色しておかなくちゃ、などと教えてくれた映画だ。古希を迎える。いいタイミングの映画だった。

  • ぴーちゃん

    5.0

    綺羅星のスタァ競演

    すごいなぁ。この出演者たちを見てください。一人一人が主役張れるスタァの面々ですよ~。この綺羅星のごとくの超豪華出演者を観ているだけでもため息が出ちゃうってものです。 物語は山の手の中産階級のおうちのお話。東京の坂西家には、母のあき(三益愛子)、雄一郎(森雅之)と和子(高峰秀子)の長男夫婦にその息子、さらにぶどう酒会社に勤める末娘の春子(団玲子)が住んでいる。今はそこに日本橋の旧家に嫁に行った長女の早苗(原節子)がやってきていた。坂西家にはさらにカメラマンの次男・礼二(宝田明)、お嫁に行った保母の薫(草笛光子)と五人の子供たちがいた。そんな坂西家に、早苗の夫が旅行中のバス事故で亡くなったという連絡が入る…。  原節子と高峰秀子の競演ですよ~。そして脇を固めるのが今も昔も変わらない草笛光子、若大将シリーズなどでおなじみの団玲子(結構好き)、宝田明の奥さん役で(淡路恵子)天才成瀬が変りゆく女のそれぞれの時代を余すところなく描ききった傑作。いやぁ、正直オイラはこういうなつかしい邦画が大好きなんですが、本当に深い感銘を受けました。やはり日本映画黄金時代の作品は今見ても十二分に面白いです。そりゃあ、いまどきの日本映画にだってたまにいい作品はあるのですが、決定的に違うのが、映画の基礎になってる構成力ですよね~。もう土台が違う。この時代の映画はびくともしないものね。それに較べると今の邦画は土台が薄い。ちょっと押すとガラガラと崩れていきそうだもの…。  日本橋の旧家に嫁いだ早苗はなにかあると居心地のいい実家の母のところに帰ってきてたりしたます。もちろん実家には兄の嫁、和子がいる訳で、和子は内心しょっちゅう帰ってくるこの早苗を快くは思ってはいません。でもお互いにそんなことはおくびにも出さず上手くやっています。ところが夫の旅行中に実家に帰っていたので事故の際連絡が遅れて夫の元に駆けつけるもその最期に間に合わなかった早苗に対して、嫁ぎ先の態度が一変します。ついに実家に帰される事になります。  とにかくこの作品は「お金」に対する事柄が非常にたくさん出てきます。冒頭いきなり投資信託の話題から入りますし、早苗の夫のお葬式の香典代をいくら出すかで兄弟間がギクシャクします。カメラマンで羽振りのいい礼二は3000円です。相談もなくその金額を置いてきた礼二に対して長男雄一郎は面白くありません。薫の嫁ぎ先の折り合いのよくない姑は「よそはよそ、ウチは500円」なんて一方的に薫に告げたりします。実家に帰ってきた早苗は夫の保険金の100万円が全財産。その中から実家に生活費いくらいれたらいいしら?なんて母のあきに相談したりします。 映画が進むにつれて、遺産分配の話、借金の話などとにかくお金の話が中心になってゆきます。そんな中、母のあきの還暦祝いに一家の全員が集まります。5人の子供はもちろん、それぞれの配偶者、恋人…全員が集まった席で母あきはみんなからのプレゼントを「西洋式に見せていただこうかね。みんなから貰った物を」なんつってうれしそうに一つ一つ開けていくのです。この場面オイラはちょっと感銘を受けました。失われた日本の原風景としての家族団らん。実はこの後の展開をみるとこれが実に危うい感情に支えられていたってことがわかるしくみになっているのが、流石は成瀬です。 この後、甲府に住んでいる春子の同僚で、ぶどう酒醸造技師の黒木(仲代達也)と長女早苗は幾たびか逢瀬を重ねます。若い独身の黒木は早苗と結婚したいという願望をもっていますが、うすうすその気持ちに気づいている早苗でしたが、自分が出戻りであるという負い目もあり黒木に対して好意を抱きつつも、友人に仕掛けられたお見合いで京都のお茶の先生(上原謙)と知り合ったりする。  原節子はやっぱり品がありますよね~。「でも、あなたのお嫁さんになるひとのためにこんなお話しているのよ、わたくし」わたしじゃなくて“わたくし”ですよ。小津作品に出てるより、こっちの原節子のほうが明るくてオイラは好きです。なんと、仲代とキスシーンがあるんですよ~。(゚д゚)!このシークセンスはサイコーですよ~。仲代の挙動不審っぷりと仲代の気をそらすために原節子がいきなり掃除機をかけ始めるんです。「あら、電気掃除機!あたくし、初めて。軽いのね」すごいですよね~、電気掃除機が出始めなんでしょうねぇ。 年老いた母の幸せっていうのは一体どこにあるのかを示唆したラストシーンといい、日本の家族崩壊の萌芽をいちはやく1960年のこの時代にスクリーンにメロドラマの形態をとりながら描き出した成瀬の手腕はやはり確かであった。

  • ********

    5.0

    複数性の競演

    1960年。成瀬巳喜男監督。旧家に嫁いだ原節子は窮屈さからしばしば里帰りしているが、ある日夫が事故死してしまうと、100万円の生命保険だけを手に追い出されてしまう。やむなく実家で暮らし始めるが、実家では兄(森雅之)がその妻(高峰秀子)の親戚のために借金をしており、それを契機にまだ存命の母(三益愛子)を横目にした財産分与の話が進行して、、、という話。草笛光子や宝田明、仲代達也に加えて、杉村春子や加東大介、上原謙までの豪華キャストで淡々と描く。笠智衆までチョイ役で出演。 家族関係の崩壊と変容がテーマになっていますが、それだけではない。家族の形を変えていくのは遺産とか保険とか借金とかいう「金」ですが、そこに再婚問題、結婚問題、嫁姑問題などの「情愛」がからみ、さらにそれぞれが美しいかどうかの「美」の問題がからむ。複数の要素が影響しあいながら関係を変えていくすばらしい映画。 しかもそれが小津映画のパロディのように進む。タイトルバックもそうだし、ハイキングシーンではフィルム撮影のパロディまで出てくる。ストーリーとして原節子と仲代達也のなまめかしいキスシーンもすばらしいのですが、その前に、二人を撮るフィルムのパロディ性が明かされてしまっている。なんとも凝った構成。 豪華な出演陣、複数の要素、映画への自意識。なんとも贅沢な作品です。

  • kxf********

    3.0

    60点 混み過ぎて、回転遅い。

    うーむ… 高峰さんと原さんの共演作とあって、 非常に期待したが全くの検討外れだった。 高峰さんなんか、出番なしじゃないか。 つくづく揃えれば良いってもんじゃないのね。 余りにも登場人物が多すぎて、主軸がどこに置かれているのかがはっきりしない。 そのせいだろうか、 例えば家を抵当に入れなくてはいけなくなって家族会議を開くあたり、 余りにも歯切れが悪すぎる。全くはじけない。 なんというか、役者も監督も、やり場に困っているように思う。 比べる必要も無いが、小津サンだったらもっとさらりと上手く描くはず。 あるいは久松静二でももっと上手くやるに違いないとか思うが、それはつまるところ、 脚本が余り良くないせいだとも言える。 いや、そもそも初めから東宝の企画が悪いんじゃないかと思う。

  • Kurosawapapa

    4.0

    成瀬流な語り口が魅了するオールスター大作

    東京、山の手に住む、とある中流の家族。 一見、平凡で温和な家族に、金銭の問題が発生し、 そのとたん、家族に私利私欲が見え隠れし、絆に亀裂が生じていきます。 本作に副題をつけるなら 「お金と家族のあり方」 という感じ。 卑しい話になりそうですが、決してそうはならず、 親子の同居の問題、結婚や夫婦間の問題など、家族に起こる出来事を通じて、 人生の実相、家族の新旧世代の対比を見事に描いていきます。 俳優陣は、上原謙、森雅之をはじめ、これまで成瀬映画を彩ってきたスターが多数出演、 原節子と高峰秀子については、共演している唯一の貴重な作品でもあります。 ベテラン勢には、笠智衆、三益愛子、杉村春子。 若手では、仲代達矢、宝田明、草笛光子らが出演しています。 これだけの俳優を揃えながら、登場人物の性格、家族構成、立場などを、 わかりやすくテンポよく伝えているのは、さすがに成瀬流。 監督の手腕は、オールスター大作でも遺憾なく発揮され、風格のある作品を作り上げています。 ==成瀬テクニック== 「具体的な金額の提示」 成瀬映画には、お金にまつわる話、つまり貧乏だったり、借金を抱えたりする話が多くあります。 そんな困難を乗り越え、力強く生きていく女性たちを描き出すわけですが、 さらに大きな特徴は、お金について「具体的な額を出す」という点にあります。 本作でも、香典代500円、映画代3本立て55円、財産分与85万円、貸付信託100万円、生命保険金100万円など、 全て細かな金額が、台詞の中に入っています。 その具体性は、 ドラマチックなシーンでさえ簡単に省略し、暗喩や寓意を重視する成瀬監督には、 いかにもそぐわないものです。 そこまでして、明確にした理由は、 おそらく成瀬監督は、お金に困っている登場人物の気持ちを伝えるには、やはりその具体額を提示する必要があると考えたのでしょう。 数字のリアリティは、見る側に作品の具体性を示し、 観る者を、苦悩する人物の心の底に近づけていきます。 また作品そのものが、当時のお金の価値観を現代に伝える貴重なドキュメンタリーにもなっています。 お金に対する執拗なほどの具体性には、とても驚かされるものがあります。 =========== 本作の登場人物は、3世代に分けられ、 老いていく親と家族の関係について、それぞれに主張があり、 どの俳優も成瀬監督の演出によって、素晴らしい味を出しています。 皮肉っぽかったり、ユーモアがあったり、様々な会話が冴え渡り、 時には、人の “自分勝手” や “意地悪” な部分も赤裸々に語られ、 監督は、人の営みを正確に捉えていきます。 そしてラストシーンでは、 生きる場が、世知辛いものであっても、 最後に人と人を繋ぐのは “優しさ” と “思いやり”  そんな温かいメッセージが伝わってきます。 成瀬映画を特徴づける、あらゆるテクニックが駆使され、 オールスターを起用し、周到な構成と、巧みな語り口で魅了する監督の手腕には、 ただただ恐れ入るものがあります。 (NARUSE:No9/10)

  • adi********

    4.0

    ウルトラ兄弟大集合☆

    はじめて 成瀬巳喜男の映画を見る という方がもし この映画を見るとしたら ハッキリいって損だと思います でなくても 職人ナルセの映画は とくに戦後の「めし」以降は 時代を追って順ぐり順ぐりと 見ていくのがオススメだということを 最近知りました するとまた特別な味わいが 増すようです この映画ときたら まるでもう あっちの映画のあの二人が こっちの映画のこの二人が こんなふうに あんなふうに と一堂に介する 異種格闘技戦! ウルトラ兄弟大集合! といった趣ですから まさに パラレルワールドでございます + 「浮き雲」や「あらくれ」で 死に別れたはずの 高峰秀子さんと森雅之さんが こんなふうに! 夫婦になってるなんて⋯ 「めし」や「山の音」で ギクシャクした夫婦だった 原節子さんと上原謙さんが こんなふうに! 再婚相手になるなんて⋯ とつぜん 満州から忘れられた お金持ちのオジさんが帰ってきたような感じ 「晩菊」で 孤独だった杉村春子さんは 息子ができても姑になっても やっぱり孤独だし 加東大介さんは やっぱりねちっこくからんでくるし 中北千枝子さんは やっぱりずけずけとシャシャリ出てくるし いつの時代も ファンというものは「ワンパターン」に弱いものです はい、 寅さんです、これはすでに! + 同じように庶民の哀感を描いた監督でも 小津さんをファンタジスタだとすると 成瀬さんは中盤の底 リアリズムでボールをさばく ボランチの旨さ この監督は 人生にクライマックスがあるなんて 露ほども考えてません(笑) とつぜん映画の途中で 「終」マークが出てきやがるんだ(笑) 結婚はひとつの山場だと 小津巨匠が描けば そのあとの 下り坂の たんたんとした結末のない日々 結婚生活の不確かさと暗澹と 死ぬまでの おぼつかない日々を描くのが 成瀬巨匠の仕事なのです(笑)

  • tot********

    4.0

    しっかり感情移入できる・・・

    5人の子の母(三益愛子)は長男夫婦と孫、そして未婚の三女と暮らしている。ほかの3人の子供たちはそれぞの家庭を持っているが、そんななか長女が夫の事故死をきっかけに嫁ぎ先から出戻ってくる。まぁ、実際のお話はここから始まります。題名どおり、親子、嫁姑、夫婦などの家族関係を、相続や母親の世話を今後誰がしていくか等の問題を絡めて女性の立場から描いています。そのテーマ等、ちょっと小津安二郎作品に似た雰囲気もあります。キャスト的には大スター共演ですが、そんなに極端な人物がでてくるわけでもなく、登場人物みんなの発言や行動も理解でき感情移入できたので、初めっから終わりまでしっかり映画の世界に入れました。出演者みんなよかったですが、私は三益愛子、杉村春子(二女の嫁ぎ先の姑)、団令子(三女)、この3人が特によかったと思いました。ひとつ気になったのは孫(小学校低学年くらいかな?)の演技。台詞は棒読み、カメラ目線も気になった。全体としては☆5つ評価でもいいくらいと思いました。

  • どーもキューブ

    4.0

    幾層にも重なる名演者

    成瀬巳喜男監督。タイトルのかなりざっくりで(笑)独自だ。キャスト欄をみるとそうそうたる俳優とその人数に驚く。宝田明、団令子(若手として)の東宝コメディ班も加わり壮大な物語を繰り出すかと思いきや、タイトルどおりの女性たちそれぞれの「金」にまつわる気苦労をえがきます。成瀬監督の演出カットが冴えまくり。現に大ヒット!複数の男女に織りなすドラマ。さながら成瀬組オールスター大感謝祭!集大成的趣。いつときも人煩わす「お金」かな!

  • dqn********

    4.0

    家族といる幸せと家族であることの不幸

    1960年の東宝No.1ヒット作。東京に暮らす母親と5人兄妹の物語。 母親(三益愛子)・長男(森雅之)・長女(原節子)・次女(草笛光子)・次男(宝田明)・三女(団令子)、長女の嫁に高峰秀子、次女の義理の母親に杉村春子、原と恋仲になりそうな男に仲代達矢、そして公園のおじいちゃんに笠智衆。適材適所の豪華キャストが楽しい映画で、原節子と高峰秀子が一緒の画面に出てくるだけで幸せな気分になる(しかもカラー映像だし)。 テーマは家族といる幸せと家族であることの悲しみ。長女の(夫の事故死による)出戻りと再婚話、次女の嫁・姑対立(杉村春子の嫌味な姑が巧い)、財産相続、年老いた母親の引き取りなど、家族に起こる問題が成瀬らしい笑いとともに展開される。特に母親の還暦をみんなでお祝いするシーンは、家族と共にいる幸福感が十分に伝わってくる。 終盤は一転シリアス。家を明け渡さなくなってしまった家族が、母親の引き取り手に悩む。二男の言う「親子だって結局他人」というエゴイスティックなセリフ、子供たちの本音を聞いて黙って老人ホームに入ろうとする母親の姿が切ない。そんな中、それぞれに母親を引き取る決心をする原と高峰の暖かさが胸に沁みる。 タイトル通り、娘・妻・母、それぞれの立場に身を置いて見ても楽しい映画です。

  • hechonaps

    5.0

    女であるなら

    タイトルの立場それぞれに思い入れができる仕上がりです。 そして未だに同じ状況では悩まなければいけない。。。 普遍のテーマと言うべきか、、現代であっても何も改善されてないだけなのか。。 いいですよね~成瀬監督の描く家族や男女って。 表面に見えるえげつなさの底にほんのり愛情や希望があって 切実な自分とそれを取り囲む人たちが織りなす画が見る角度ごとに違って見えて。 なんど見ても飽きないだろうなって思えます。

  • inu********

    5.0

    そうきたか

    成瀬監督の作品は、平凡な家族模様ながらついつい引き込まれて見入ってしまう。 なんでもない映画でいて、なんでもなくない。 それが成瀬監督の巨匠たる所以なのではないかと感じ始めています。 家族のほのぼのとした噺家と思いきや、後半は冷静客観的に家族の問題にズバッと切り込む。 理想の家族なんかではない、現実の家族像。 原節子さんがおっとりしているようで、しっかりしている 一風変わったキャラクター。 仲代達矢さんの若いこと。

  • いやよセブン

    4.0

    やる気のなさそうな題名だが

    中身は成瀬巳喜男の良質なホームドラマだ。 母(三益愛子)とサラリーマンの長男(森雅之)と親戚の少ない嫁(高峰秀子)、カメラマンの次男(宝田明)とやり手で年上の嫁(淡路恵子)、夫が亡くなり出戻った長女(原節子)、一人息子に嫁ぎ、夫を溺愛する義母(杉村春子)とうまくいかない次女(草笛光子)、独身の三女(団令子)たちが織りなす、どこにでもあるようなお話。 このほかにも笠智衆、仲代達矢、上原謙、加東大介など豪華絢爛な出演者だ。 お金を巡るトラブルや母親の面倒などに、各人各様の対応でほろ苦い。

  • sei********

    5.0

    成瀬組オールキャスト

    小津監督の「東京物語」を観て良い印象を持った方はこの作品も是非! 成瀬監督1960年カラー作品。 始めは、眼を閉じて台詞を聞いただけでもどこかで聴いたことのある声、原・高峰・森・三益・杉村・宝田・仲代・淡路・草笛・団 等々、この豪華キャスト各々の演技がまるで他作品でのキャラクターが勢揃いしたかのよう(笑) そういう楽しみで鑑賞していたら、徐々にドロドロし始める(私の中ではキタキタキタッ!)。 家族の描写がまた上手い。娘・息子の立場、母の心情をどのように観て感じるかは人それぞれですが、重層的にしっかりと描いてます。殆どの作品はこれだけ姉妹を登場させると失敗するものですが、成瀬監督得意の省略の技術が発揮されます。 お金に関する考え、家族に関する考えが兄妹それぞれ明確ですね。 よって、この作品はどの視点からも観ても楽しめると思います。 ちょっと顔見せ的な要素も強いが、監督が上手く纏めた感があります。 そして、ラストには味な演出があります。

  • pos********

    5.0

    ネタバレ後れ毛

    このレビューにはネタバレが含まれています。
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