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娘・妻・母 (1960)

監督
成瀬巳喜男
  • みたいムービー 6
  • みたログ 116

4.19 / 評価:37件

綺羅星のスタァ競演

  • nqb***** さん
  • 2012年1月24日 1時23分
  • 閲覧数 1041
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

すごいなぁ。この出演者たちを見てください。一人一人が主役張れるスタァの面々ですよ~。この綺羅星のごとくの超豪華出演者を観ているだけでもため息が出ちゃうってものです。

物語は山の手の中産階級のおうちのお話。東京の坂西家には、母のあき(三益愛子)、雄一郎(森雅之)と和子(高峰秀子)の長男夫婦にその息子、さらにぶどう酒会社に勤める末娘の春子(団玲子)が住んでいる。今はそこに日本橋の旧家に嫁に行った長女の早苗(原節子)がやってきていた。坂西家にはさらにカメラマンの次男・礼二(宝田明)、お嫁に行った保母の薫(草笛光子)と五人の子供たちがいた。そんな坂西家に、早苗の夫が旅行中のバス事故で亡くなったという連絡が入る…。

 原節子と高峰秀子の競演ですよ~。そして脇を固めるのが今も昔も変わらない草笛光子、若大将シリーズなどでおなじみの団玲子(結構好き)、宝田明の奥さん役で(淡路恵子)天才成瀬が変りゆく女のそれぞれの時代を余すところなく描ききった傑作。いやぁ、正直オイラはこういうなつかしい邦画が大好きなんですが、本当に深い感銘を受けました。やはり日本映画黄金時代の作品は今見ても十二分に面白いです。そりゃあ、いまどきの日本映画にだってたまにいい作品はあるのですが、決定的に違うのが、映画の基礎になってる構成力ですよね~。もう土台が違う。この時代の映画はびくともしないものね。それに較べると今の邦画は土台が薄い。ちょっと押すとガラガラと崩れていきそうだもの…。

 日本橋の旧家に嫁いだ早苗はなにかあると居心地のいい実家の母のところに帰ってきてたりしたます。もちろん実家には兄の嫁、和子がいる訳で、和子は内心しょっちゅう帰ってくるこの早苗を快くは思ってはいません。でもお互いにそんなことはおくびにも出さず上手くやっています。ところが夫の旅行中に実家に帰っていたので事故の際連絡が遅れて夫の元に駆けつけるもその最期に間に合わなかった早苗に対して、嫁ぎ先の態度が一変します。ついに実家に帰される事になります。

 とにかくこの作品は「お金」に対する事柄が非常にたくさん出てきます。冒頭いきなり投資信託の話題から入りますし、早苗の夫のお葬式の香典代をいくら出すかで兄弟間がギクシャクします。カメラマンで羽振りのいい礼二は3000円です。相談もなくその金額を置いてきた礼二に対して長男雄一郎は面白くありません。薫の嫁ぎ先の折り合いのよくない姑は「よそはよそ、ウチは500円」なんて一方的に薫に告げたりします。実家に帰ってきた早苗は夫の保険金の100万円が全財産。その中から実家に生活費いくらいれたらいいしら?なんて母のあきに相談したりします。

映画が進むにつれて、遺産分配の話、借金の話などとにかくお金の話が中心になってゆきます。そんな中、母のあきの還暦祝いに一家の全員が集まります。5人の子供はもちろん、それぞれの配偶者、恋人…全員が集まった席で母あきはみんなからのプレゼントを「西洋式に見せていただこうかね。みんなから貰った物を」なんつってうれしそうに一つ一つ開けていくのです。この場面オイラはちょっと感銘を受けました。失われた日本の原風景としての家族団らん。実はこの後の展開をみるとこれが実に危うい感情に支えられていたってことがわかるしくみになっているのが、流石は成瀬です。

この後、甲府に住んでいる春子の同僚で、ぶどう酒醸造技師の黒木(仲代達也)と長女早苗は幾たびか逢瀬を重ねます。若い独身の黒木は早苗と結婚したいという願望をもっていますが、うすうすその気持ちに気づいている早苗でしたが、自分が出戻りであるという負い目もあり黒木に対して好意を抱きつつも、友人に仕掛けられたお見合いで京都のお茶の先生(上原謙)と知り合ったりする。

 原節子はやっぱり品がありますよね~。「でも、あなたのお嫁さんになるひとのためにこんなお話しているのよ、わたくし」わたしじゃなくて“わたくし”ですよ。小津作品に出てるより、こっちの原節子のほうが明るくてオイラは好きです。なんと、仲代とキスシーンがあるんですよ~。(゚д゚)!このシークセンスはサイコーですよ~。仲代の挙動不審っぷりと仲代の気をそらすために原節子がいきなり掃除機をかけ始めるんです。「あら、電気掃除機!あたくし、初めて。軽いのね」すごいですよね~、電気掃除機が出始めなんでしょうねぇ。

年老いた母の幸せっていうのは一体どこにあるのかを示唆したラストシーンといい、日本の家族崩壊の萌芽をいちはやく1960年のこの時代にスクリーンにメロドラマの形態をとりながら描き出した成瀬の手腕はやはり確かであった。

詳細評価

物語
配役
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音楽

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