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アラン

アラン

MAN OF ARAN

77

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5.0

白い海

1934年。ロバート・フラハティ監督。「極北の怪異」でイヌイットの生活を撮った「ドキュメンタリーの父」フラハティ監督がアイルランドの孤島で生きる家族を撮った映画。またしても「人生とは戦いなのだ」という監督の声が聞こえてきそうな、過酷な生活を追うドキュメンタリー。しかし今回は俳優をつかっているし、カットも格段に増えていて、実写にこだわったわけではありません(サメとの戦いなどすごいカット数です)。 ではなににこだわっているかというと「白い海」。荒れ狂う海は泡を吹いて、おだやかな海は太陽を反射して、一様に白い。イヌイットたちが囲まれていた白い雪の世界のように、この白い海の世界が撮りたったんだな、きっと。大きな生き物を波打ち際でひっぱる(イヌイットではセイウチ、今回はサメ)というもあるけれど。 そしてその海は災いの元であると同時に生命の糧でもあって、何も被害を与えない代わりに何も生まない不毛な「陸」と対比的に描かれています。海でサメと戦う夫と、陸で土を増やそうと海藻を担ぐ妻の切り返しカットはすばらしいです。 船の故障ではじまり、全壊でおわる。途中でサメに勝つのを合わせて1勝2敗ですから、たしかに人生はきびしい。それでもその海のうねりや泡立ち、光の反射の美しさや幸福感たるや!!!

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