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白い肌と黄色い隊長 (1960)

監督
堀内真直
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3.00 / 評価:3件

本当に恐いのは敵より自国軍!

  • bakeneko さん
  • 2016年6月6日 20時53分
  • 閲覧数 757
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

1960年に菊池政男の「白い肌と黄色い隊長」の出版と同時に映画化された作品で、太平洋戦争時のオランダ領セレベス島の南スラウェシ・カンピリ敵性国婦女子収容所で、人道的な立場から最後まで戦時国際法を守り抜き収容者達に献身した山地正(やまじ ただし) 二等兵曹の奮闘を通して、戦争の非人間性とそれに対抗した人間の理性と絆を謳いあげています。

昭和17年8月から昭和20年8月の終戦までの3年間、オランダ人を筆頭にイギリス人、アメリカ人、アルメニア人などを最大時には2,600人の婦女子を収容していた、カンピリの収容所で、所長の山地正二等兵曹と、マカッサル専門学校の先生だったオランダ人のヨーストラ夫人を中心とする抑留者側が協力して自治体制と自活運営が行われた実話に基づいたヒューマンドラマの力作で、最近話題になった「アンブロークン」や「戦場に架ける橋」、「アンボンで何が裁かれたか」での横暴な日本人収容所長とは正反対の人徳者も日本軍に居たという事実にほっとさせてくれます。

実際の事件に即しているとは思えないほどの危機的状況の連続で、劣悪な居住環境の改善から始まって、収容所内の自治システムの構築や、裁縫産物の売買による経済権の確立、野犬の駆除、食料の自給、兵隊のセクハラ防止…といった内部条件を改善して一息ついたところで、
日本軍からの“慰安婦の供出命令”
連合軍の“無差別爆撃”
―とそれぞれの味方の軍によって難題と犠牲を強いられるなど、敵国よりも味方国がより苛烈な仕打ちをする―戦争と軍隊の不条理を赤裸々に見せています。

物語は、戦後戦犯として告発された山地兵曹の裁判中の回想と証言の形で過去の出来事を語っていく倒述形式となっていて、勝者の驕りで見せしめの為に日本軍将校を何とかして有罪にしたい(=偏向した)連合軍法廷を敵に廻して、“果たして有罪になるのか否か?”という法廷サスペンスでも盛り上がる作劇となっています。

ちょっと脚色しすぎて恋愛的要素を加えたり(外国からクレームがつきました)、
収容者達が喋っている言葉がオランダ語ではなくて英語だったり、
オープニングクレジットの表示がイタリア語だったり、
…と、不合理な部分もありますが、

実直な主人公を演じた:大木実を始めとして、杉浦直樹、笠智衆、山茶花究、内田良平、信欣三らも血の通った人物を好演していて、特に横暴な少佐役の山茶花究や荒んだ日本兵役の内田良平が敗戦していく日本を象徴しています(でも、慰安所の店主をいつもの調子で演じた殿山泰司が一番現実感を出しています!)。

戦争の過酷さと人間性を失わないことの尊さを、実際に起きた奇跡の様な事象を元に描いた作品で、同じ南方全占領地の軍需物資供給地で最も物資が豊富だったジャワのスマランでは慰安婦供出によって戦後裁判処刑が行われたことを鑑みると、主人公の勇気に感服する映画であります。


ねたばれ?
1、映画では主人公は無罪を勝ち取りますが、実際には有罪となっています。しかし劇中にある様にヨーステラ夫人を中心とした収容者たちが減刑嘆願に奔走してくれたおかげで、20年の判決が10年に変更され、更に7年へと再変更が続いて、結局ジャワ島のチビナン刑務所に1年8か月、昭和24年1月24日帰国後、巣鴨で8か月過ごした後釈放されています。
2、子豚に事故死した仲間の名前を付けるなんて…(あとで食べるんでしょ!)

詳細評価

物語
配役
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音楽

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