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笛吹川

笛吹川

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kih********

3.0

笛の音が響くかと思ったのに……

 戦国時代、川中島の合戦、長篠の合戦などはいくつも小説・ドラマ・映画などで観た。また、教科書でも教えられた。しかしそれはいずれも英雄伝説であり、歴史学習だった。たしかに、日本の歴史の流れを決定する重要な意味があった。  しかし本作はそのような戦国の表舞台を描いていない。合戦に家族を供出(あるいは志願)する百姓・庶民の村が舞台だ。表に対する裏の舞台だ。無常観、やるせなさ。戦の裏バージョンは、必ずこういうことになる。  平安の時代でも、戦国の時代でも、幕末・維新の時代でも、そして世界大戦でも、(戦の現場もさることながら、)裏の舞台は必ず悲しく、むなしい。  映画だから、それをどのようにスクリーン上に描くかという、映画人の「1スジ、2ヌケ、3ドウサ」の腕の見せ所だが……、本作は「2ヌケ」に腐心したらしい。はっきりいって無駄な試みだった。「3ドウサ」も首をかしげたくなる。  戦の舞台裏を描けば必ず反戦・厭戦ものになる。どうしても暗くなる、辛くなる。そのワンパターンから脱却するのに「色をつける」という手法を使った。必要なかった。  好んで知ろうとされない戦の裏舞台だが、観客に媚びることなく、淡々と映し出されればいい。色はいらない、演技もいらない。この映画の着色を剥がして、出演者の声を聞きやすい録音にして(字幕でもいい)、リメークしていただけないものだろうか。  趣味で笛を吹いているものだから、レンタル店の隅にいつも見える『笛吹川』のタイトルが気になっていた。映画のどこにも笛吹きの場面がなかった。タイトルは、橋がかかったあの川の名前だったのだろう。それにしても、その名前の由来があるだろうから、ちょっと触れて欲しかったなぁ。バックミュージックに篠笛などを使うと良かったろうになぁ、と……、これは本題から外れた個人的な嗜好の話。

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