武器なき斗い
あらすじ・解説
解説:allcinema(外部リンク)
作品レビュー(4件)
- ali********
5.0点
昭和の日本の戦争の原因は、日本人が熱狂したとか、中国が(日本の侵攻に)猛反撃したとか、アメリカに(軍事的にではなく経済制裁で)追い詰められたとかいう右派本が並ぶが、日本国内で戦争を自由に議論・報道できなかった事実を、忘れてはいけません。政治家でさえ、軍や戦争を批判すると殺された時代です(5.15事件、2・26事件)。それ以外の国民も、治安維持法のもとで、政府や戦争を批判すると、特別(秘密)警察の取り締まりや拷問の対象になったのでした。 言論や政府批判の自由が失われ、一方的な宣伝が繰り返されたために、戦争を止められなくなり、逆に戦争を拡大し戦死者が増え「お国のために命をささげた英霊の努力をムダにするな」と宣伝されために、戦争を嫌がり批判する自由主義(リベラル)を「非国民」(今の「反日」と同じニュアンス)だと弾圧しやすくなったのです。悪循環です。 そのあたりの昭和史は、高校や大学で学ぶはずですが、映画としては、この『武器なきたたかい』が鮮烈に記録しています。とはいえ、1930年代、政府の統制や警察力の強化があるラインを超えると、とくに日本では一部の良心的な人が頑張るくらいで、どんどん統制が強まっていった。「専制に抵抗するなら早いうち」という教訓です。結局、日本は第2次大戦を起こして大きな被害を出し、敗北し、連合国に占領され指示され、新憲法を提案されるまで、自分の力では自由と民主主義を回復できなかった。日本人は、強い者には抵抗しない人が多い。 重厚な映画ですが、一度は見ておきたい。他にこのテーマを取り上げた日本映画としては、『軍閥』『少年H』などがお勧めです。ドイツ、フランス、イタリアなどにも、レジスタンスの映画がたくさんありますが、市民の抵抗意識はもっと高い。
- bakeneko
5.0点
このレビューにはネタバレが含まれています。 - pnd********
4.0点
このレビューにはネタバレが含まれています。 - yqy********
5.0点
お坊っちゃんでお人よしで、思い込みが激しい「山宣」。 同志社大学教授から代議士になり、共産党に共鳴して右翼に刺されて死ぬ。 同志社の教壇でセックスの大切さを学生に説き、代議士に転じてからも「新島襄先生ならこういうときどう思うだろうか」と自問自答する。 殺された右翼にも危険を顧みず、個室で単身で接見し議論する。 こんな純な男がいまいるだろうか。またこんな純な男を演じられる役者がいるだろうか。 「お父様おやすみなさい」幼き子ども達が直立不動で山宣におやすみのご挨拶。 昔の大学教授ってほんとに高貴だったんですね。 気持ちを豊かにする山本薩夫監督の異色作。 (2002年 宮城県立図書館 ビデオブースにて鑑賞)
スタッフ・キャスト
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