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赤坂の姉妹より 夜の肌

bakeneko

5.0

ネタバレ赤坂の”三人姉妹”

「女中っ子」や「女ごころ」の由起しげ子の原作『赤坂の姉妹』を川島雄三が映画化したもので、国会議事堂の門前町である赤坂という特異な街に集まる群像の人生模様の中に、世代と性格の異なる三人姉妹の生き方を描いた“人間&社会ドラマ”の傑作であります。 いつもの様に舞台となる土地:赤坂の紹介ナレーションで始まる本作は、政治の中心であるこの特異な街の表情を、政治家、ジャーナリスト、テレビ局員、料亭人、財界人を縦横無尽に動かしながら見せてくれます。 そして、その世界の中で泳向する三人姉妹の生き方を描くことで、“夢と現実”、“女の意地”“愛情と打算”を交錯させて浮き彫りにして行きます。 一番しっかりしていて冷静&打算的だけれども、昔の純粋な頃の夢も忘れていない長女をー淡島千景が、 世間的に成功することよりも愛情に重きを置く=“女であることを打算的に使うことに抵抗のある”感傷的な次女をー新珠三千代が、 それぞれ魅力と実在感たっぷりに演じています。 そして3女の学生運動家である川口知子を通して、当時の政治状況が見えてくる創りとなっているのであります。 更に、抜群の上手さで“政治家”を演じる伊藤雄之助の創り出した“清濁合わせ飲む海千山千”のキャラクターが秀逸ですし、山岡久乃の“老舗料亭の女将”のにこやかな中に見せる“冷徹な怖さ”も画面を引き締めています。 他にも多くの“川島組”の名優が様々な生きたキャラクターのこの街での生きることへの奮闘を見せてくれる群像劇でありますが、同時に原作の芯となっているチェーホフの戯曲“三人姉妹”が象徴する“夢&願望&現実の相克”が物語の中に見え隠れしつつ“生き抜くことだけでは充足されない人生の意味”を考えさせてくれる創りとなっているのであります。 美人女優&曲者俳優のアンサンブルで描く“人生模様と人間の真理”と、赤坂の豆知識、1960年代の政治的状況を楽しめる作品で、開局直後のTV東京も興味深く紹介される映画であります。 ねたばれ? 1、淡島千景と新珠三千代のキャットファイトを見ることが出来ます。 他の川島映画「縞の背広の親分衆」のvs有島一郎場面でも描かれていましたが、淡島さんの得意技は“高速で物を投げつける”ことであります(キングコング&レッドキングと同じ技ですね。わあっご免なさい!) 2、冒頭の国会議事堂での献花は、安保闘争デモの犠牲となった樺美智子さんに捧げるものであります(川島の心情を表しています)。

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