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別れて生きるときも

bakeneko

5.0

ネタバレ市原悦子のキャピキャピキャンペーンガール

「足摺岬」、「銀心中」、「異母兄弟」など、社会の激流に翻弄される庶民の愛憎を描いて、TVや映画に多くの原作を提供している:田宮 虎彦の「別れて生きる時も―愛情について」を司葉子主演で映画化したもので、京都→東京を舞台にして、ある不運な女性の昭和初期から昭和20年の戦後の混乱期までの35歳まで流転する半生記を、戦争前の不穏な情勢から活写してゆく“女性ドラマ+庶民から見た戦時”映画の力作であります。 昭和6年に21歳で暴虐な夫から逃れて京都から東京に脱出し、苦難の末に仕事を得て自活できるようになりやがて自転車会社の社員と結婚するが、やがて夫は招集されて…という女半生記を現実と回想を交錯させて語ってゆく作劇となっていて、「紀ノ川」の様に司葉子が女子高生から中年までを熱演しています。 ヒロイン以外の登場人物は、夫役の芥川比呂志&高島忠夫の他は、肉親でさえも登場時間が少なく直ぐに消え去ってゆく作劇が特徴で、児玉清、小林桂樹、芥川比呂志、河津清三郎、田中絹代、沢村いき雄、菅井きん、小池朝雄、松村達雄、加藤武、市原悦子、佐田豊、田中邦衛、西村晃…らが一瞬の登場で消えて行きます。 そして、226事件や特高の専横、赤狩り、朝鮮人の強制移住…といった事件を、“居合わせたヒロインの目を通した”形で実体験風に見せて行く臨場感が出色で、「この世界の片隅で」と同様に庶民の生活感覚で戦前から戦中戦後を共体験させてくれます。 女性が一人で暮らしてゆくことが大変だった時代に孤軍奮闘したヒロインを通して、昭和という時代の素顔が浮かび上がってくる作品で、女学生から中年まで各世代を演じても、やはり司葉子は美人であります(でも京都時代から標準語しか話さないのは変だな~)。 ねたばれ? 1、本原作は映画よりもTVの連続ドラマに向いているので、1962年:高田敏江 版、1964年:堀川真知子 版、1969年:小林千登勢 版、1978年:松原智恵子 版と4回も創られています。 2、逆に見ると、関係した男が皆不幸になる本作のヒロインって疫病神だなぁ~

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