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五人の突撃隊

bakeneko

5.0

ネタバレ30分あれば...。

太平洋戦争最大の失敗戦略である:インパール作戦で、絶体絶命の窮地に陥った最前線部隊での司令官から二等兵まで様々な兵隊の焦燥と足掻きを緊迫感漲る演出で煽りながら、同時にそれぞれが抱えている人間関係&故郷への想いも活写した後で、盛大な戦闘クライマックスを見せてくれる作品で、“如何に不合理な状況下でも命令に従わなければならない”戦争と軍の本質を糾弾しつつ、望郷の思いで戦う兵士の極限状況での活躍に手に汗握らせる娯楽活劇となっています。 流石の東条英機も作戦案を一瞥して“大丈夫か?”と問うた程のトンデモ作戦=インパール作戦の失敗の本質は“補給を考慮していなかったから”ということに尽きます(初心者が戦略シュミレーションゲームでやりがちなミスですな)。 本映画は、敵地深く進攻した段階で“食料と弾薬が切れてしまった”状況なのに、軍上層部から“攻撃&敵の殲滅”を命じられる―めちゃくちゃだけれど本当にあった戦況から物語が始まります。そして、着々と戦闘準備を整えていく敵の状況を見ながら、上官命令で“先制攻撃をかけなければならない”自殺的な状況において、何とか活路を見出すべく頭を巡らす派遣司令官&温情家の将校&最前線兵士たちをハラハラしながら見つめるのであります。 題名にもある5人の兵隊は、物語中に回想形式で背景が語られる多様なキャラクターの寄せ集めで、それぞれが(砲手、操縦手、機関兵等の)戦車兵+指揮官で、最後の作戦で鹵獲した唯一の敵戦車を砲台化した中に立て籠って敵戦車群を迎え撃つ任務を帯びていきます。それぞれの個性を見せながら、なけなしの蛮勇をふるっての活躍をクライマックスで見せる―「鬼戦車T-34」の影響も観ることが出来る活劇で、戦車の構造と攻略法も見ることが出来ます。 悲惨な状況での逼迫した戦闘を描いていますが、そこは娯楽職人の井上監督らしく、挟み込まれる回想シーンや兵士のやり取りの人間ドラマの豊潤さで一喜一憂させてくれますし、戦闘場面も陰惨さ皆無の豪快な破壊アクションとなっています。 実際にあった戦況&展開を映画化していることに驚きの“人間ドラマ&極限状況下でのサバイバル戦闘アクション”の力作で、“上がアホだと兵隊はたまらんなあ~”と言うことを実感させてくれます。 ねたばれ?(物語の展開に付いて書いていますので鑑賞後にお読みください) 1、部隊を撤収させた師団長は実際には自決しませんでした。命令違反を犯したために軍事裁判にかけられますが心神喪失を理由に解放されています(みんな同情したのね)。 2、で、このトンデモ作戦を考案した司令官は、日本軍の南方方面攻略部隊のトップに在りながら戦後“無能な作戦指揮はむしろ連合軍に対して効果的な支援であった”として戦犯での起訴を免れています(困ったもんだ~)。 3、黒色火薬は轢かれても爆発しないと思う。

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