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黄昏 (1951)

CARRIE

監督
ウィリアム・ワイラー
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  • みたログ 99

3.88 / 評価:34件

立場なくして愛は語り合えないのか

  • 一人旅 さん
  • 2016年3月10日 21時00分
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

ウィリアム・ワイラー監督作。

シカゴにある高級レストランの支配人を務めるジョージと田舎から出てきた初心な娘・キャリーの愛の行方を描いたドラマ。
『ローマの休日』とは対照的な愛の物語。
立場の違いを越えて成立する男女間の淡い恋模様を描いた『ローマの休日』とは異なり、本作では立場の違いがジョージとキャリーの愛を遮る。キャリーへの愛のために、妻子や裕福な生活の全てを投げ捨てるジョージ。だが、初めて味わう貧しさが愛を隠してしまうという皮肉。愛さえあれば他に要らないと訴えるキャリーに対し、ジョージは貧しさからの脱却こそが必要であると主張し、キャリーの健気な気持ちを知らず知らずの内にないがしろにしてしまうのだ。
経済的に恵まれた生活を知るジョージと知らないキャリー。キャリーは生活の前に愛を見るが、ジョージは愛の前に生活を見る。過去の社会的、経済的立場の違う両者は愛の見方まで違う。お互いがお互いを愛しているという事実自体は変わりようがないのに、立場の違いが二人の愛を遠く見えなくしてしまうのだ。それは立場が逆転しても変わらない。立場のすれ違いが、同時に愛のすれ違いを生んでしまうという悲劇。
立場なくして愛は語り合えないのか。立場の上に愛が成り立つのであれば、愛に意味なんて無くなってしまう。だが、恐らくそうではないはずだ。少なくとも、ジョージとキャリーの愛の出発点は立場の違いに関係なく、相手に対する純粋な愛情に始まっている。大切なのは、人生において何を一番に優先すべきなのか。贅沢な暮らしなのか、それとも素朴な愛なのか。ジョージはその判断を誤っている。一番大切だったはずのキャリーとの愛に満ちた人生を後回しにして、前半は富と名誉、後半は男としてのプライドとキャリーに対する後ろめたさで心を支配されているのだ。
「過去を見ないで」というキャリーの言葉をそのまま返すジョージの姿が切なく、胸に突き刺さる。同じ言葉でも、その意味合いは全く異なる。
そして、ジョージを演じた名優ローレンス・オリヴィエの演技が素晴らしい。上流社会で紳士的な振る舞いを見せる姿と、無一文になりボロボロの衣服で街を徘徊する哀れな姿の強烈な対比。浮浪者の集まる簡易宿から強制的に追い出される姿が悲しい。愛のためにすべてを捨てた男を待ち受ける過酷な運命に言葉を失うのだ。また、キャリーを演じたジェニファー・ジョーンズも通じ合わない愛の悲哀と孤独をひしと感じさせる迫真の演技を魅せている。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • ロマンチック
  • 絶望的
  • 切ない
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