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黄昏 (1951)

CARRIE

監督
ウィリアム・ワイラー
  • みたいムービー 18
  • みたログ 99

3.88 / 評価:34件

映画オリジナルのラストは…

  • bakeneko さん
  • 2020年4月23日 8時12分
  • 閲覧数 537
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

セオドア・ドライサーが1900年に発表した処女作『シスター・キャリー』を、ジェニファー・ジョーンズ&ローレンス・オリビエ主演でウィリアム・ワイラー監督が映画化したもので、“劣悪な経済環境がピュアな愛情を蝕んでゆく”といシビアなテーマを堅持しつつ、オペラの「椿姫」をモチーフにした恋愛ドラマのロマンを上乗せしています。

「陽のあたる場所」でも“成功した者は華やかな生活を享受できるが、多くは貧困のスパイラルから脱出できないで喘いでいる”というアメリカ≒資本主義の暗部を活写していた:セオドア・ドライサーのデビュー作で、1890年代のシカゴ→NYを舞台にして、田舎から出てきたキャリー(ジェニファー・ジョーンズ)とシカゴで出逢った裕福なレストランの支配人ハーストウッド(ローレンス・オリビエ)の恋と逃避行の果ての皮肉な運命の食い違いが映し出されてゆきます。

状況に流されただけなのに期せずして様々な階層社会と男たちの間を転がりながら成功をつかみ取って行くキャリーに、アメリカ社会での成功者を、ちょっとしたきっかけで盤石だった豊かな環境から最底辺まで堕ちてゆくハーストウッドに、敗者を代表させていて、
精神的な支え=愛があれば、極貧でも平気なキャリーが裕福になり、豪奢な階級の生活感を捨て去れないハーストウッドが困窮にあえぐというシニカルな展開に、アメリカ=資本主義社会のシビアさと運命の皮肉を浮かび上がらせています。

“確固たる地位の人物に拾い上げられた娘が成功し、嘗ての恩人は落ちぶれる”―「栄光のハリウッド」から始まる「スタア誕生」パターンの男女逆転劇に、
尊敬を集めていた名士が若い娘との恋に破滅するー「嘆きの天使」
―を加えた様なお話ですが、19世紀末のアメリカの文化風俗も再現されていて、まだ馬車で行き来していた頃に既にシカゴには地下鉄(1892年創業)があったことも判りますし、当時は労働組合も無くて労働者の権利が低く、結婚前の男女が同棲することは不道徳であったことも判ります。また当時の貨幣価値は現在よりもかなり1ドルの価値が高く、現在の価値にして1ドル≒2500円くらいだったことも頭に入れておくと物語がより理解しやすいと思います。

そして同じくドライサーの原作“アメリカの悲劇”をかなり主人公に同情的に改変していた「陽のあたる場所」と同様に、本作もドライな原作に比べて主人公2人の愛をかなり美化したロマン主導の脚色となっていて、二人の食い違いは“相互の思いやり”が動機となった様に描かれています。そこでモチーフとなるのが映画の冒頭で二人が観に行ったオペラ「椿姫」で、オペラのヒロインと同様に “相手の幸せを思いやって自分は身を引く”行為を選択した二人の行き違いが運命を分ける―ロマンチック且つシニカルな展開に改変されています。
また、原作に比べてラストも大きく変更されていて、本映画のラストは原作を超えた名脚色として「第三の男」、「太陽がいっぱい」などに並ぶ鮮やかな余韻を残したものとなっていますので、本作に感動された方は原作も読んでみたらいかがでしょうか?

ねたばれ?
原作では、ハーストウッドはキャリーを訪ねずに木賃宿でガス自殺を遂げます(映画ではガスの栓を開け締め逡巡する場面に変更されています)。
また、最後に貰った“25セント硬貨”は、現在の価値にして2500/4≒600円あまりといったところであります(安食堂一食分ですな)。

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