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今年の恋 (1962)

監督
木下恵介
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4.00 / 評価:10件

戦後の世の中が落ち着いて来た

  • 百兵映 さん
  • 2016年1月29日 18時14分
  • 閲覧数 316
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

 木下恵介監督にもこういう軽妙なタッチの作品があったのかと意外だった(ま、知らなかっただけのことだけど)。1962年というから、世の中も落ち着き、監督にも余裕が出てきたのだろうか。

 除夜の鐘で終る、というのは彼自身の過去の清算という意味があるのかもしれない。『今年の』恋人と言いながら、それぞれの恋人という感じだ。皆それぞれにいいカップルじゃないか。新しい(今年の)カップルはもちろんだが、それぞれの親御さんたちが良い味わいを醸すいいカップルだ。

 戦後17年。みんなが「今年」に希望を見た頃だ。それを同時代に作っている(再現セットではない)から、隅々まで説得力がある。百円玉 ――当時は未だ東京にしか出回っていなかった。下町のゴミ捨て ――ポリ容器に変わる直前のものだ。自家用車のラジオのアンテナ ――そろそろFM放送が実用化していたか。道路の白線 ――未だ黄色の中央線がない。なんてったって、自家用車でドライブなんて、まだまだ庶民には夢のような話だった、その頃の話だ。

 作中の相川さんチもご苦労されたようだが、立派な店舗を構えられるまでになった。山田さんチでは奥さんを亡くされてご苦労されたようだが、会社の専務さんにまで出世された。これで息子たちがまともに勉強して、そこそこの進学ができればいうことはないのだが……。

 この高校生たちはいわゆる “団塊の世代” に当たる。様々な事情を抱え、あるいは翻弄され、後の格差社会に入る分岐点でもあった。実際の所、相川さんチの坊ちゃんも山田さんチの坊ちゃんも、すでに富裕層に位置している。冒頭の不良学生に絡まれる場面がそれを表している。そして、この不良学生たちもまた、変な言い方だが、ハイクラスなのだ。そもそも、この時代、高校に進学しないまま就職した子たちが少なくなかったのだ。

 ま、それでとやかく言うつもりはないけど、比較的恵まれた人々の、ちょとお洒落なラブロマンスというところだ。『陸軍』、『二十四の瞳』の木下監督が作った作品というところに、時代の変化が感じられる。この年の2年先(1964年)に東京オリンピックが開催される。

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