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充たされた生活 (1962)

監督
羽仁進
  • みたいムービー 1
  • みたログ 5

3.60 / 評価:5件

安保闘争を背景にして

  • bakeneko さん
  • 2013年10月29日 7時57分
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

60年安保闘争に揺れた東京を舞台にして、女性とっての充実した生とは何か?を追求した、石川達三の同名小説の映画化作品で、“全くセットを使わない手持ちカメラでのゲリラ撮影”や“映画的メイクを使わない役者の素の表情を捉えた演出”がセミドキュメンタリーの様な質感を出している-当時の日本&日本人を切り取って見せてくれる“女性ドラマ&社会劇”の野心作であります。

軽薄な夫と3年の結婚生活を生産したヒロインの彷徨を見せながら、現代人の帰着する場所を模索している作品で、帰属した劇団の劇作家、アパートの隣室に住んでいる学生運動家、妻と死別している同僚俳優など、さまざまな男性の間を揺れ動くヒロインの心の動きを活写しています。
1960年の安保闘争の時代の日本人の思想&行動基準が封入されている作品でもあり、当時のニュースフィルム等も挟み込まれる社会的な映画ともなっていて、“まだ自分たち自身で国の進路を変えられると信じていた時代の日本人”が活写されています。
ヒロインを演じた有馬稲子さんの一人称出ずっぱりの熱演を観ることが出来る作品で、映画的メイクを纏わない素顔の演技やシミーズ&水着といった大胆なショット、更に自作(作詞作曲)の歌声の披露…とファンには大サービスの映画でもあります。
羽仁進の自然体の演出と、ヒロインの視点で軽やかに動き回るカメラワークが等身大の共感覚を生み出していて、モブシーンやロケ地の多くの被写体が全く通りすがりの人々であることがセミドキュメンタリー的な感覚を現出させていますし、武満徹の音楽も登場人物の心の動きをビビッドに表現しています。
ドキュメンタリータッチの無作為的な演出の一方で、写真家であるカメラマン:長野重一の実験&野心的な構図や、登場人物の表情のアップや情景との絡みに当時流行りのヌーベルバーグやアントニオーニ作品の影響も多々見つけることが出来る作品でもあり、有馬稲子の美貌と相まって瑞々しい感傷を得ることのできる映画ともなっています。

安保闘争の時代は遠くに過ぎ去ってしまいましたが、本映画で描かれる“女性の自分探し”は現在の方がより切実ですし、出てくる様々な男たちは本質的に今と全く変わっていませんよ!(特にアイ・ジョージのダメ男ぶりが絶品!)


ねたばれ?
劇団の練習風景&貧乏さは現在とあまり変わらないなあ~。

詳細評価

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