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タッカー

タッカー

TUCKER/TUCKER: THE MAN AND HIS DREAM

111

一人旅

4.0

恐れない生き方

フランシス・F・コッポラ監督作。 安全性を追求した“タッカー車”の生みの親、プレストン・タッカーの半生を描く。 個人の夢が巨大な権力を前に脆くも崩れ去っていくこととそれがもたらす危険性を一人の男の姿を通じて訴えている。フォード、GM、クライスラーのビッグスリーが支配する当時の自動車業界に独自の自動車で参入を決意するタッカー(ジェフ・ブリッジス)。だが支配者はそれを許さない。恐ろしいのが、タッカーを陥れ既存の権益を死守するために巨大な権力が間違いなく働き始めているのに、その当事者はほとんど姿を見せないことだ。タッカーの目の見えないところで秘かに鉄鋼取引を妨害したり、産業スパイを送り込む。そのような支配者の汚いやり方とは対照的に、タッカーは全面的に広告戦略を実施し、積極的に国民にタッカー車を売り込んでいく。新参の小物が失敗を恐れず表舞台に打って出ているのに、絶大な権力を有するはずの支配者は影の存在となり、正々堂々勝負に挑む気などないのだ。この関係性は財界だけではなく政界にも当てはまる。下から怒涛の勢いで上がってくる者に対して支配者は極度に恐れを抱いてしまうのだ。

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