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明日ある限り

bakeneko

5.0

ネタバレ雨降りお月さん 雲の蔭♪

「二十四の瞳」などの壷井栄が1959年に発刊した小説「雨夜の星」を東宝・豊田四郎監督で映像化したもので、目の不自由な次女を育てる―戦中から戦後の25年に渡る香川京子&佐野周二夫妻の奮闘記に加えて、名カメラマン:岡崎宏三が捉えた小豆島の風景も見所となっています。 太平洋戦争直前の昭和16年の七夕。なつ子(香川京子)は、次女の小織(星由里子)を産むが、彼女は先天性白内障であった。幾度かの手術を経て幾許かの視力は回復したが、霧の中にいる様な視界の小織は一般生活が困難で、兄:太郎(山崎努)や姉:アカネ(池内淳子)らの手助けが必要であった。やがて戦争も終わり、陸軍病院で療養していた夫:哲夫(佐野周二)も帰還して、安定した生活を送る家族であったが、小織の将来に関して家族はあれこれと頭を悩まして…というお話で、夫婦の双方の祖母役で杉村春子と浪花千栄子、なつ子の姉夫婦に乙羽信子&千秋実、太郎の恋人の水野久美らも好演しています。 “悪い人が一人も出て来ない”-家族愛が暖かく描かれている物語ですが、視力障碍者が生きてゆくことの難しさでは冷徹な現実を提示していて、度重なる治療費や習い事(ヴァイオリン)は生活のスキルにならないこと、親族の結婚の際に問題となること…といった諸問題を華燭なく俎上に上げて映し出されてゆきます。 壷井栄作品らしく、繊細な心理描写と人間の本質的な優しさに感じ入る作品となっていて、前年(1961年)から始まった「若大将」シリーズで人気沸騰してきた星由里子(18歳)が、視覚が乏しいという難しい演技をしっかりこなしていることにも注目の作品ですし、実際は30歳だった香川京子の老けメイクは、その後の彼女の美しい加齢の容貌を予見していますよ♡ ねたばれ? 1、小豆島ロケでは主要産業である―醤油の大樽(創業は1804年)、そうめんの日干し(伊勢参りに行った島民が三輪の素麺作りを学び、島独特の手延べそうめんを作り上げたのが、1598年)、オリーブの収穫風景(1908年に栽培開始)も映し出されています。 2、ガスレンジ様は応接間の神棚に鎮座しているのね(笑)

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