レビュー一覧に戻る
座頭市物語

くそげーまにあ

5.0

ネタバレシリーズ化を予期していなかった第一作

よもや、これほどのロングランシリーズになるとはスタッフの誰も予期しなかったでしょう。(現在のところ、最新の自称最終作が最悪の出来になるとも) 子母沢寛のエッセイに登場する盲目の居合い抜きの達人の話の話を大幅に脚色して、名匠「三隅研次」が監督。当然、主演は勝新太郎。 座頭の市は、わらじを脱いだ旅先で助五郎の用心棒として雇われ、釣の最中に肺病みの浪人の平手(天知茂)と出会う。 誇り高い侍である平手と盲目であることを馬鹿にされまいと居合いの腕を磨き達人となった市は同じ剣に生きる者として意気投合するが、平手は助五郎の敵である笹川の用心棒だった。 二人は立場など気にせずに友情を育むが、平手の病は悪化し、やがて寝込んでしまう。これ幸いと助五郎は抗争を起こすが、無用な争いを嫌う市は守銭奴の助五郎を軽蔑していたこともあって、出入りには参加せず平手を見舞おうとする。 しかし、平手はいなかった。律儀な平手は病の床から起き出して用心棒としての義務を果たし、助五郎一家は誤算に追い詰められる。 自分を慕う娘を振り切り、そこに訪れる市。 剣に生きた平手の達人の剣で死にたいという望みに真剣勝負を決意する市。二人は切り結び、市に礼を言って倒れる平手。 勢いをとり戻した助五郎一家は笹川一家を皆殺しにする。勝利に浮かれる助五郎に「何人死んだと思ってるんだ」と怒りを爆発させ、旅立つ市。名を上げようとする追いかけてきた手下を斬り捨てた後、剣を捨てる。 自分を慕う娘が街道で待っていることに気がついた市はそっとやぶ道へと入って、そのまま去っていく。 チャンバラ映画というより、アクションのしっかりした文芸時代劇と言った方が良い、実に風格ある作品です。 後に続いた理由はこの一作目の圧倒的な存在感であり、剣を捨てても捨ててもやっぱり剣に生きるしかなく、また剣を取ってしまうという哀しい性を後の作品で付け加えたからこそです。 勝、天地の名演と殺陣の素晴らしさ。ここぞという時の剣劇。伊福部昭の音楽…いいところを上げればキリのない映画。 シリーズのうち、この一作目が映画としては最高峰だと思います。 (娯楽作品としては、数々の名作が続くとはいえ) どうでもいい余談ですが、デビルマンのヒロイン「美樹」の別名「平手ミキ」は本作の天地茂の役名からでしょうね。

閲覧数816