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山河あり

kin********

3.0

ネタバレ大作ですが

池袋新文芸坐の高峰秀子特集で「名もなく貧しく美しく」と併映鑑賞。この2本は松山善三の監督デビュー作と第二作になります。  「名もなくー」が素晴らしい出来栄えで、木下恵介の口添えと高峰秀子の夫君という事情もあり、まだ新人と言える松山善三がこのような大作を監督することになったのでしょう。ハワイの日系人たちが、開戦によって翻弄される姿を真摯に描く意欲作でもあります。  久板栄二郎の脚本は理詰めの、やや演劇的なもの。それを監督は出来るだけ映画的にしようとしたのか(脚本にもクレジットされている)、無駄に長いところがあります。(若者たちのダンスシーンとか)  二世たちの出征シーンで、早川保と桑野みゆきが延々見つめ合うのは、間違いなく師匠の映画「陸軍」の模倣ですね。ここは見応えがあります。  開巻からしばらくは一世たちの苦労話。不可欠な要素とは思いますが、この部分は図式的でお座なりな印象。そして長い。  また、ふたつの家族にエピソードを振り分けたことで散漫になってしまっている気がします。「名もなくー」がひたすら夫婦ふたりを追って成功したのとは対称的。  と、手抜きのない映像でしっかり綴っているのに、全体としてはバランスが悪く、乗り切れませんでした。デビュー作「名もなくー」が緊密に組まれたものだっただけに、よけいにそう思います。  編集で冒頭の苦労話をバッサリ落とし無駄に長い部分を整理するだけで、佳作に生まれ変わる気がします。それとも、大作として公開するために、これ以上短くはできなかったのか。

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