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山河あり

bakeneko

5.0

ネタバレ此処は眩しすぎるわ…

大正中期にハワイに移民した日系人とその2世達の苦闘を描いたヒューマンドラマの力作で、日華事変から第2次世界大戦へと至る日米の関係の悪化とそれに対する世代間の感覚の差に、脚本&監督を兼ねた松山善三の日本民族&戦争観が示されています。 大正七年。ハワイに向かう日本人移民船中で井上義雄(田村高廣)と妻のきし(高峰秀子)夫婦は、写真だけのお見合いで郷田久平(小林桂樹)に嫁ぐ すみと知り合う。一緒にパイナップル農園で働きだした彼らだが、先の無い&命を削る労働から逃れるて転職して、井上は日本語学校の教師に、きしは雑貨店主に、郷田と すみはクリーニング店を経営して、それぞれが安定した生活を送れるようになる。井上家には春男(早川保)と明(ミッキー・カーチス)、郷田家には一郎(石濱朗)とさくら(桑野みゆき)が生まれて親子共々親しく交流していたが、日本の中国への侵攻によって日本への愛着がある親と状況を客観的に見る子供の間に齟齬が生じ…というお話で、映画の後半は太平洋戦争という状況下で日本とアメリカの板挟みになる移民日系人の苦難が描かれてゆきます。 山崎豊子の「二つの祖国」やアラン・パーカーの「愛と哀しみの旅路」に先んじて、大平洋戦争中の日系移民の葛藤と苦闘を描いている作品で、望郷の念に囚われている移民一世vsその国が母国となった二世の隔絶はアメリカでの移民一世と2世の感覚差を活写した「その名にちなんで」や「タンゴ ガルデルの亡命」のラストシークエンスも連想させます。 大正移民の先輩として長老を演じる三井孔次が癖のある存在感を出していますし、アメリカ国籍の親戚につらく当たる=きし の実家の父親:加藤嘉が戦時中の日本人の象徴として示されています。そして、唯一 きし母子に同情的な桂小金治も庶民の中に在る人間性を代表しています。 ハワイ住民側から観た―(現場の戦闘シーンを一切見せない)真珠湾奇襲の描写も興味深い作品で、モノクロ画面でもはっきりと判るー強いコントラストがハワイの日光に強さ感じさせますよ! ねたばれ? 沖縄に米軍が上陸したのは3月26日だから、母子の納屋もそんなに寒く無かったのでは?

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