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硝子のジョニー 野獣のように見えて

bakeneko

5.0

ネタバレ芦川いづみ=“和風ジェルソミーナ”

北海道を舞台にして、はみだし者男女が奏でる寓話愛憎劇で、稚内の昆布漁村から人買いに売られた頭の弱い女の子と、逃げ出した函館で知り合ったギャンブル狂の元料理人に、追ってきた元歌手の人身売買人との愛憎が絡む―“想いが食い違い続ける男女関係”を大自然の風景の中に叙情的に描いています。 無垢なジェルソミーナ&粗野なザンパノ&規格外のキ印が“人生と男女の愛の寓話劇”を魅せてくれた名作:「道」の和風換骨奪胎版ともいえる“象徴的な男女の寓話劇”で、北海道の海沿いの町を舞台にして、純粋な女の子&平凡に飽き足らない男&過去に傷を持つ男の愛憎が語られていきます。 ジェルソミーナタイプの“頭は弱いけれど無垢で純粋なヒロイン”は、荒んだ生活に明け暮れる男性(=観客)のナイーブなこころを鷲掴みする吸引力を持っていて、「吹けば飛ぶよな男だが」の緑魔子、「花のようなエレ」のグエン・ウェルズなどが強烈な印象を残しています。本作では芦川いづみさんがヒロインを力演していて、ノーメイク&仇気ない食べ方&無邪気な笑顔で、男性の根底にある庇護心を直撃します♡ また、ヒロインと係わる―陽と陰の好対照な男を演じる―宍戸錠とアイ・ジョージもいい味を出していて、特に生涯のヒット曲“硝子のジョニー”♪を始めとしたアイ・ジョージの歌声は耳に残ります。 荒涼とした北海道の原野と海に反響する“孤独な想い&愛情への渇望”が胸に迫る映像抒情詩で、現代人の魂の方向を具現化して見せてくれる佳作であります。 ねたばれ? 1、砂浜では昆布は採れないと思う。 2、物語の鍵となる“硝子のジョニー”♪の詩を紹介します(大ヒットした本作公開当時=1960年代にはみんな知っていたのですよ!)。 黒い面影 夜霧に濡れて   ギターも 泣いている   ジョニーよ どこに   いつかは 消えてゆく   恋の夢よ 赤い花束 なみだにうるむ   何故に 帰らぬ   ジョニーよ どこに   いつまた 逢える日   淡い夢よ 黒い太陽 まぶたに消えて   空しい グラスよ   ジョニーよ どこに   語らん いついつ   恋の夢よ

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